今回は、教員採用試験で近年導入が増える傾向にある「模擬授業」についてお伝えします。
対策する上で必要な基本的な知識と心構えについて、一発合格を経験した筆者の経験や知識を基にしてまとめました。
主に、以下の内容をお伝えします。
- 模擬授業の「形式や内容」
- 模擬授業をする上で「押さえたいポイント」
- 模擬授業をする上で「持つべき心構え」
初めて受験される方も、受験経験のある方もまずは基本的な知識と心構えを確認して、対策に役立ててください。
▼教員採用試験の模擬授業対策について、より実践的な対策方法や筆者の体験談などを知りたい方はこちらの「実践編」を読んでください
「模擬授業」の形式・時間・課題について
まずは、教員採用試験の模擬授業対策を進めるにあたっての基本的な知識をお伝えします。
受験する自治体によって形式には違いがあります。
ココで模擬授業がどのようなものかをイメージできるようにした上で、必ず受験予定の自治体の過去数年分の形式について確認しましょう。
模擬授業の形式と時間
形式
教員採用試験の模擬授業の形式は、試験会場に受験者ひとりに対し面接官が2人以上いる場合と、受験者が同時に複数人試験会場に同席して行われる場合があります。
課題は、当日に与えられる場合と、あらかじめ伝えらる場合があります。
指導案についても、作成を求められる場合と求められない場合とがあります。
また、模擬授業が終わった後に面接が設定されている場合があります。
模擬授業の内容に終始する場合もあれば、それが個人面接を兼ねていて、模擬授業以外の内容も含めて深く掘り下げられる場合があります。
時間
模擬授業自体は短ければ3~5分程度、長ければ10~15分程度です。
もし模擬授業の後に面接が加わると、30~45分程度に及ぶ場合があります。
課題について
模擬授業の課題は「教科指導」の授業であることが多いです。
しかし、時には「朝の会」や「生活指導」など、教科指導以外の場面を前提にして課題を課されることもあります。
- 教科指導(授業)
- 命の大切さについての指導
- 校外学習の事前指導
「模擬授業」で評価されるために押さえたいポイント
模擬授業を行う上で、評価されるために押さえておきたいポイントについていくつか紹介しておきます。
- 授業の構成
- 対話を意識した授業
- 声量
- 話のスピード
- 発言内容(言葉づかい)
- 視線
- 板書
- 気配り
授業の構成
15分など比較的長い時間であればモチロンの事、3分程度の短い時間であっても模擬授業の中の構成は大切です。
一般的には「起→承→結」
教師の世界では「導入→展開→終末」
といった構成で組み立てるようにしましょう。
対話
今は子供たちの「主体的・対話的で深い学び」が求められています。
一方的に話しかけて授業を進めるのではなく、子供たちに話しかけて発言させながら授業を進めるように心掛けましょう。
もちろん模擬授業の際に子供たちはいませんので、話しかけても返事はありません。
それでもこちらから話しかけ、何も返答がない中でもあたかも返答が来ているように演技をしましょう。
「ひとり芝居」になるので一見やりにくそうですが、ひとり演技で対話をするのは実はとてもやりやすいのです。
なぜなら、子供たちの返答を自分の都合のいいように設定できるからです。
親切にも面接官が子供役になって受験者の話しかけに対して返答してくれる場合がありますが、逆にこのほうが予想の難しい相手の返答に対応しなければならない分やりにくい面があります。
声量
基本的に授業は全体指導なので「声量」はとても大切です。
教室のどこにいても、子供達が多少ザワザワしていても教室内に響きわたる程度の声で話をしましょう。
気をつけたいことは「叫ばない」コトです。
叫ぶことなく学級全体に聞こえるような声で話し続けられるよう、練習を重ねましょう。
発言内容
細かい発問内容も大切ですが、それ以上に「言葉づかい」に気をつけましょう。
現実はざっくばらんな言葉を使ったりしますが、教員採用試験の模擬授業では「丁寧な言葉づかい」で進めましょう。
子供たちへの指名も呼び捨てや呼び名ではなく 「~さん」 が望ましいですね。
男子への「~くん」については、考え方の違いで男女で呼び名を変えることに抵抗感を持つ試験官もいるので控えたほうが「無難」です。
一般的には「~くん」は違和感を感じませし、個人的には問題ないと考えますが、教師の中には「~くん」を不適切と考える人がそこそこいます。
ココは「合格率を上げるため」に「万人に受け入れられる対応」を心がけてください。
視線
話をしながら学級全体を見渡すように視線を動かすことが大切です。
不自然にならないよう、話の内容や使う言葉などに合わせて時には視線を止めてみたり、速さに変化をもたらしてみたりという工夫があると良いでしょう。
板書
緊張する教員採用試験の本番では最も疎かになりがちなのが「板書」です。
理想は終わった後に板書を見ると「何をしたのか」が分かる板書です。
- めあてを書く
- 2色以上の色を使う
- 押さえたいポイントが分かる工夫(枠で囲うなど)を入れる
- 上手でなくてもいいので字は丁寧に書く
- 字の大きさは「手のひら」くらい
あたりは最低限押さえておきましょう。
気配り
実際に教室に子供たちがいることを想定しての授業です。
マイペースに淡々と進めずに、子供たちへの気配りなどする点があると良いでしょう。
例えば
- 板書を書いた後や途中に「後ろの人見えますか?」と確認する演技を入れる
- 私語をする子供に対しての指導する演技を入れる
- 机間巡視で理解の進まない子供に寄り添う指導をする演技を入れる
などです。
「模擬授業」の心構えについて
模擬授業をする上で必要な心構えは
です。
試験会場内には受験者と面接官しかいません。
しかし、模擬授業を行う際は子供達がたくさん目の前にいることをイメージして「演技」をしましょう。
試験官がジッと自分のことをみていても関係ありません。
- 恥ずかしそうにやる
- 同じ場所から動かない
- 頭が真っ白になり無言が続く
ではいけません。
試験官はいない・・・
目の前にいるのは子供たち・・・
そして今から自分は目の前の子供たちに授業をする・・・
そんな設定の中で
が大切です。
模擬授業をスタートさせる前に
そう自分に言い聞かせて、気持ちを整理すると良いでしょう。
まとめ
今回は、教員採用試験の模擬授業について基本的なコトを整理して以下のコトをお伝えしました。
- 模擬授業の「形式や内容」
- 模擬授業をする上で「押さえたいポイント」
- 模擬授業をする上で「持つべき心構え」
教員採用試験は「即戦力」を求めて合否を決めます。
今すぐにでも子供たちの前に出ても指導していける人材を求めています。
なぜなら、新任教師は「新人研修」と並行して、4月の始業式から他の先輩教師と同じように担任を持ち、授業を行い、部活動を担当するからです。
そういった事情から「模擬授業」を採用試験に導入する自治体は多いです。
ここで紹介されたコトは最低限頭に入れた上で、シッカリと準備をして当日を迎えるようにしてください。
▼教員採用試験の模擬授業対策について、より実践的な対策方法や筆者の体験談などを知りたい方はこちらの「実践編」を読んでください