教員採用試験「模擬授業」対策・実践編~合格する対策のポイント~

教員採用試験の勉強法「模擬授業」

この記事では、教員採用試験の模擬授業対策について、「実践編」として具体的な対策の進め方についてご紹介します。

  • 模擬授業対策を進めるうえで気を付けるべきこと4つ
  • 模擬授業対策の「準備」と「実戦」について
  • 模擬授業対策経験談~1発合格を果たした筆者の対策~
  • まとめ
あわせて読みたい

▼教員採用試験の模擬授業対策について、より基本的な内容・知識・心構えを知りたい方はこちらの「入門編」を読んでください

教員採用試験「模擬授業」対策の基本~一発合格者による必読レポート~

模擬授業対策で「気をつけるべきポイント」4つ

まずは、模擬授業対策で「気を付けるべきポイント」について触れておきます。

  • 模擬授業は普段の授業とは違う
  • 受験指導のプロの評価を受けよう
  • 「無難な授業」を心がけよう
  • 模擬授業対策も「準備」と「実践」が大切

以下に詳しく説明します。

模擬授業は普段の授業とはちがう

これは受験テクニック的な話にはなるのですが

模擬授業は普段の授業とは違う

というコトを意識しましょう。

普段の授業は子供たちに「めあて」につながる経験をさせり技能を習得させたりするものです。

しかし、模擬授業は面接官に見せて「この人を採用したい」と思わせる授業です。

本来そうであってはならないのですが

採用される模擬授業 ≒ 子供たちに支持される授業

なのです。

例えば、現場で結果を出している講師経験者が「いつも現場でやっている通りにすれば良い」という考えで模擬授業をすることは危険だということです。

そもそも現場ですら「全く同じやり方」で毎年良い学級づくりができるなんてことはありません。

子供の実態や学級のタイプによってやり方のマイナーチェンジは日常茶飯です。

つまり、現場ですら「教師」「子供の実態」「学級のタイプ」によって押さえるべきポイントが違うのに、「現場での授業」と「採用試験の模擬授業」のポイントが同じはずがないのです。

もちろん、現場で実践しているやり方が偶然にも教員採用試験の模擬授業の評価ポイントと偶然にも合致するのであれば合格するでしょう。

しかしそれは偶然の合格であり、実態はそうはいかない場合のほうが多いのです。

したがって「模擬授業で評価されるポイント」を押さえた模擬授業を研究し、対策を進めるべきなのです。

 

受験指導のプロに評価を受けよう

模擬授業に限らず、面接や集団討論などについても言えることですが

必ず1度は受験指導のプロに模擬授業を評価してもらう機会を持つ

ことが大切です。

理由は以下の2つが挙げられます

  • 普段の授業と模擬授業は評価の視点が違うから
  • 模擬授業は他人からの客観評価が大切だから

 

普段の授業と模擬授業は評価の視点が違う

これは先にも述べました。

試験官が見て「採用したい」と思う授業と子供たちに支持される授業にはズレがあります

ということは、教員採用試験を突破するための視点で指導できる「受験指導のプロ」に評価・指導してもらうのがイチバンです。

もちろん、現役教師や管理職(校長など)の方々にも適切な指導ができる人もいます。

しかし、アタリハズレがある覚悟は必要です。

そういう意味で、模擬授業の指導は実績のある「受験指導のプロ」に軍配が上がります。

 

模擬授業は他人からの客観評価が大切

模擬授業は面接や討論などの人物試験同様、他人の評価で合否が決まります。

なので

客観的な評価なしに、自分の模擬授業の改善すべき点を発見するのは難しい

と考えてください。

自分の授業を録画したりして振り返る人もいますが、それだけでOKだと思う人は「自分が受験の素人」だという意識が低いです。

まだ合格したこともない受験生が、自分の模擬授業をどうやって合格に導くのでしょうか。

もちろん自己完結して合格する人もいます。

それは自分の思い込みが偶然にも評価ポイントと合致していたのでしょう。

しかし

同じやるなら「偶然」ではなく、「必然的」に合格率の高くなる方法で準備をするべき

ですよね。

教員採用試験の合格率を少しでも高めるためには「プロの力を借りて客観評価を得る」ことを心がけましょう。

 

「無難な授業」を心がけよう

模擬授業の内容を考えるにあたって心がけるべきこと。

それは

「無難な授業」を心がけること

です。

面接官は50代の校長や現場経験のある教育委員会職員などベテラン職員あることがほとんどです。

悪く言うと 「考え方の古い方」 が多いです。

そういった面接官の誰もが 「イイネ!」 と思える授業にするべきです。

ここで大切なことは「誰もが」というところです。

誰が見ても

面接官
100点とはいかないが、80点はあげられるよね

と評価される模擬授業ができるようにしましょう。

特殊なネタや特別な技術を駆使した授業は、考え方の合致する面接官には「100点」を貰えるかもしれませんが、そうでない面接官からの評価は保証できません。

確実に合格点を貰える無難な模擬授業を展開できるようにしましょう。

 

模擬授業対策も「準備」と「実戦」が大切

教員採用試験に関わらず、何事も対策には「準備」と「実戦」が大切です。

サッカーや野球でいう「準備」は「普段の練習」であり、「実戦」とは「練習試合」のことです。

このことは、教員採用試験の模擬授業対策にも同じことが言えます。

この項目については、他の項目以上に深く触れておく必要がありますので、以下に詳しく解説します。

模擬授業対策の「準備」と「実戦」について

それでは、模擬授業対策の「準備」と「実戦」について詳しく解説します。

模擬授業対策の「準備」

模擬授業対策の「準備」とは主に下記の3点です

模擬授業対策の準備
  • 模擬授業の展開イメージを持つ
  • 苦手とする細かなポイントを練習する
  • 経験値を高める

簡単にこの3点を説明します。

 

模擬授業の展開イメージを持つ

合格できる模擬授業を展開するには

「授業の理想的な展開イメージ」を持てていること

が重要です。

なぜ「イメージ」が大切なのかと言うと、模擬授業で出題されうる課題は星の数ほどあり「的中させること」は至難の業だからです。

つまり

どのような課題が出されても「標準的な授業展開」や「めあて」を想像し、模擬授業内容を速やかに設定し「高確率で70~80点の授業を成立させる」最大公約数的なセンスを持つこと

が合格への近道なのです。

大まかで良いので以下のようなコトを知識として持っていると、模擬授業の内容をイメージする上での助けになるでしょう。

  • 授業の構成が「導入→展開→終末」で進められていること
  • それぞれの学年・教科・単元・時間の「めあて」は何か
  • それぞれの単元でどのような授業が行われているのか

これらの知識を集めるうえで大切なことは、完璧に「すべての学年・教科・単元・時間のめあてや授業展開例」を知ろうとしないことです。

個人的にオススメなのは

授業展開例の乱読

です。

時間を上手に活用して、たくさんの授業展開例に触れて理解を重ねるのです。

覚えようとしてはいけません。

乱読してたくさんの授業展開例を疑似体験して 「授業っておおよそこんな感じ」 というイメージを持てるようにしましょう。

 

苦手とする細かなポイントを練習する

授業は「イメージ」や「知識」があれば成立するものではありません。

細かい重要なポイントを押さえられていないと、模擬授業で合格点が取れなくなる恐れがあります。

例えば

  • 声の出し方
  • チョークの持ち方
  • 口ぐせ

などです。

そして、これらの細かいポイントの多くは自分自身の努力で修正できるポイントであり、プロに評価をしてもらうような本番さながらの「実戦練習」以外の練習で修正していくことが大切です。

あわせて読もう

▼模擬授業での「細かい重要ポイント」については、下記記事の「模擬授業のポイント」を確認しましょう。

教員採用試験「模擬授業」対策の基本~一発合格者による必読レポート~

経験値を高める

レベルの高い模擬授業を実現するためには「経験値」が必要です。

これは

とにかく「練習量」をこなすこと

です。

面接や討論と同じで、模擬授業も「練習」を重ねることで経験値を高めることができます。

しかし、この「練習」は「実戦練習」とは違います。

具体的には

  • 自分ひとりでする模擬授業を録画して振り返る練習
  • 受験仲間と模擬授業をする練習

のことです。

「受験のプロ」に評価してもらう、本番さながらの「実戦練習」ではありません。

受験のプロに評価してもらう「実戦練習」までに、本番さながらの練習を重ねるのです。

ここで気を付けたいのは

基本的に受験仲間と行う練習では、深い理解と解釈の必要な点に関する「問題点の指摘」をし合わない

ことです。

2点目に紹介した「口グセ」などの「細かい重要ポイント」については、素人でも見てわかる点であれば指摘し合っても良いでしょう。

しかし

  • 授業の展開について
  • 発問への評価

など、深い理解と解釈が必要な点について、合格する力もない素人同士で指摘し合うのは意味がありません。

逆に混乱を招いたり、間違った方向に進んでしまう恐れがあります。

気をつけましょう。

 

模擬授業対策の「実戦」

模擬授業対策の「実戦」とは

受験指導のプロの前で模擬授業を実演して指摘をしてもらう、本番さながらの練習

のことです。

大手教採予備校、教採塾、大手出版社(協同出版や時事通信社)による「有料の模擬授業講座」などを積極的に利用しましょう。

面接や討論などと同じく「客観評価」が必要になる模擬授業では、受験指導のプロに観てもらい、課題を指摘してもらう機会を持つことが大切です。

また、講師の人は所属校の管理職(主に校長)に指導を受けられることがあります。

そのような機会があれば、絶対に指導をしてもらうべきです。

しかし、管理職は採用に携わった経験が浅い人もいますし、仮に経験が豊富であっても「受験指導に長けているかどうか」は別話です。

必ず「受験指導のプロ」に1度は模擬授業を観てもらうことをオススメします。

教員採用試験 「模擬授業対策」 体験談~準備編~

それでは、最後に「3府県3連勝の一発合格」で教員採用試験を終えた筆者の模擬授業対策を「準備編」と「実戦編」に分けてお伝えします。

参考にしてもらえれば幸いです。

模擬授業の対策を進めるにあたって、私は「実戦」よりも「準備」のほうに時間を掛けました。なぜなら講師経験がなく、知識や経験が全く足りていなかったからです。

主には以下の3点を「模擬授業対策の準備」として行いました。

  • 模擬授業の展開イメージを持つ
  • 苦手とする細かなポイントを練習する
  • 経験値を高める

 

模擬授業の展開イメージを持つ

教員採用試験に合格できる模擬授業をできるようになるには

どのような課題が出てきても「ある程度の授業案」を即席でサクッと作れる力が必要

と考えました。

そして、そのためには出題され得る課題のひとつひとつに指導案を準備するのではなく、授業の疑似体験を重ねて いつでも授業を組み立てて実行するイメージを持つことが大切 だと考えました。

模擬授業のイメージを持つために私が行ったことは

授業展開の乱読

でした。

 

いつ「授業展開の乱読」を実行するのか

授業展開の乱読は「読む」ので机は要りません。

できるだけ座学ができない時間帯で、本やスマホなどが読める時間を探して利用するのが良いでしょう。

私の受験生当時は、毎日大阪の図書館まで約1時間かけて通っていました。

特に片道約40分間乗る電車の帰りに「授業展開例の乱読をする」と決めて、4月くらいからの約4か月間、ほぼ毎日続けていました。

 

授業展開の乱読に何を使ったのか

授業展開の乱読に使ったのは

月刊教育技術 「小1~小6」 (小学館)の別冊付録

「教科指導~実践のヒントとアイディア~」

です。

この「教科指導~実践のヒントとアイディア~」は、発行時期に合わせた各教科の授業案をまとめてくれているのでオススメです。

今は冊子の中のコーナーのひとつとして扱われていますが、当時は別冊付録として掲載されていました。

全ての時数分ではありませんが、おおよそ大切なポイントになる授業について取り上げています。

初心者向けにまとめてくれているので、講師経験が無い初心者の私でもとても読みやすく、授業の展開イメージを持ちやすい資料です。

 

どのように活用したのか

私はこの「教科指導~実践のヒントとアイディア~」のバックナンバー約半年分(6か月分)を図書館で借り、1~6年分を全てコピーしました。

ココで大切なことは 1~6年分を読む ことです。

ある学年を1年分全て見ることよりも、完璧でなくても全学年分に目を通すことを重視しました。

なぜなら

特に小学校の模擬授業では発達段階に応じた指導への意識が大切

だと感じたからです。

そして

100枚以上になった資料を、何度も何度もひととおり読み返しました

例えば1年生の資料を読み終えたら、次は2年生、その次は3年生・・・といった具合に読み進めます。

そして、6年生の資料を読み終えたら、また1年生に戻って読み進めました。

理解して読み進める1周目は時間が掛かりましたが、2週目、3週目と繰り返す度に読み進めるスピードが速くなっていくので、根気よく続けると1周のペースが速くなる上、だんだんと頭に残ってくるようになりました。

 

苦手とする細かなポイントを練習する

苦手とする細かなポイントの練習につては、あまり時間を掛けませんでした

個人的には以下の点に不安がありました

  1. 字にクセがある
  2. チョークの持ち方が良くない
  3. 口グセで「えー」が入りやすい

自分の中で3つ目の「口グセ」が最も優先的に改善すべきだと判断し、その修正に力を入れました。

なぜなら「口グセ」の修正は、模擬授業だけでなく、面接や討論にも活かせるので費用対効果が高いと考えたからです。

あとの2つは、他の対策と比べて優先順位が低いと判断し、ほぼ未対策で本番に突入しました。

 

いつ・どのように実行したのか

口グセの修正は以下の2つで行いました。

  • 自宅での練習
  • 面接や集団討論も含めた人物試験の練習

自宅の練習は、自分でひとり模擬授業をやってみて、その様子を録音して聞き直す。

面接や集団討論の練習は、週1回大阪で行われていた有料の練習会に参加していたので、そこで周りの受験仲間や指導いただいた講師先生などに聞いてもらいました。

もちろん、受験仲間で自主的に行う模擬授業の練習でも同様でした。

 

気を付けたこと

口グセの修正で気を付けたことは

口グセを意識して練習するのは自宅での個人練習のみで、他の人を交えて行う練習時には口グセは気にせずに話をする

ことでした

理由は、他の人を交えて行う練習は、個人練習とは違って実戦に近い練習になるので、口グセの練習に使うのはもったいないと考えたからです。

口グセの修正は個人練習で積み重ねられます。

他人と共同で行う練習の貴重な機会に「口グセ」を意識するのはもったいないと思います。

他人と共同で行う人物試験の練習では口グセを意識しない状態で取り組む・・・つまり、無意識で口グセが出るかどうかを試して、受験仲間や講評いただく講師の方に口グセの有無を確認しました。

 

経験値を高める

当時の私は「講師経験」が無かったので、授業をする経験値を高めることが必要であることは理解していました。

それでも自分の判断の中の当時の優先順位は

面接>討論>模擬授業

でしたので、面接や討論練習に比べると練習機会は少なかったと思います。

主には以下のような形で練習をしました

  • 受験仲間との「模擬授業の練習会」に参加
  • 自宅で個人練習

受験仲間との練習会はおおよそ5~6回程度、模擬授業の経験をしたと思います。

自宅での個人練習は覚えていませんが、10回程度行いました。

特に自宅での個人練習の際はできる限り録画をして見返すようにしていました。

教員採用試験 「模擬授業対策」 体験談~実戦編~

何事も本番さながらの「実戦練習」は大切です。

本番さながらの環境と雰囲気を持って、そして何より受験指導のプロに観てもらい指導を受けましょう。

 

どのように実行したのか

実際に受験指導のプロの方に観てもらうレベルの実戦的な練習をしたのは

通っていた有料の講習会…2回

協同出版と時事通信社の講習会…各1回(2回)

の4回程度だったと思います。

面接や集団討論はそれぞれ10回近く行ったので、それに比べるとかなり少ないです。

これは先にも述べましたが、私の中の優先順位が

面接>討論>模擬授業

だったからです。

限られた時間の中でとにかくひとつひとつ真剣に気持ちを入れて取り組むことを心がけました。

 

気を付けたこと

実戦練習で大切なことは、とにかく「受験指導のプロ」に観てもらい、評価を受けることです。

そしてより大切にしていたことは

複数の受験指導のプロに観てもらい、評価を受けること

です。

私の場合、毎週通って指導を受けていた受験指導のプロの方がいましたが、それでも時事通信社と共同出版社の主催する有料の講習会に参加して、別の受験主導のプロに指導を受けました。

理由は以下の2点です

・複数の受験指導のプロからの評価を受けることで絶対的な課題が分かる

・「本番により近い環境」で練習をする

複数の受験指導のプロに観てもらうと、指導側も人なので指導内容にズレが生じることがある反面、共通した指導評価を得ることもあります。

共通して指摘されたところは優先的に修正し、共通して褒めてもらったところは自信を持つことで、模擬授業対策の方向性をつける指針にできるのです。

また、受験本番は面接官も受験生も「初顔合わせ」です。

大手予備校や教採塾などの講習会に定期的に参加している人は、どうしても「馴れ合い」が生じて緊張感が薄れてきます。

他の単発講習会で違うタイプの面接官や受験生と練習をすることは良い意味での緊張感を生み、「より本番に近い環境」で練習をすることに繋がるのです。

まとめ

今回は、教員採用試験 「模擬授業」対策の実践編として、実際に対策を進める上で大切な事や具体的な対策の進め方についてご紹介しました。

特に以下の点については、対策を進める上での心がけとして大切です。

  • 模擬授業は普段の授業とは違う
  • 受験指導のプロの評価を受けよう
  • 「無難な授業」を心がけよう
  • 模擬授業対策も「準備」と「実践」が大切

ぜひ参考にしていただき、充実した対策を進められ、次の教員採用試験での合格を勝ち取られることを願います。

頑張ってくださいね。

 

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