今回は、受験勉強や仕事などのパフォーマンスと睡眠の関係に焦点をあて、「質の良い睡眠」を実現するための簡単な方法を紹介します。
質の良い睡眠で、睡眠時間を増やさずに作業効率をアップさせましょう。そして、受験勉強や仕事の目標達成を現実のモノにしましょう。
目次
「睡眠負債」の意味とリスクを知っていますか?
みなさん「睡眠負債」という言葉を知っていますか?
「睡眠負債」とは日常の睡眠不足が、借金のように積み重なっている状態のことを言います。
「睡眠負債」が大きくなると、心身に深刻なリスクをもたらします。集中力が低下したり、ミスが起こりやすくなったり、または病気になりやすくなったりするのです。
「睡眠負債」と仕事のパフォーマンス低下の関係
受験勉強や仕事に力が入ると時間が欲しくなります。そんな時に多くの人がやってしまうことが「睡眠時間の削減」です。
睡眠時間を削ると、起きている時間が長くなるので簡単に時間が手に入ります。
しかしその分、勉強や仕事でミスをしたり集中力が欠けたりして効率的に物事が進まなくなります。みなさんはそういう経験はありませんか?
これは、寝不足によって情報処理をする脳の活動が低下することが原因なのです。
つまり、安易に睡眠時間を削ると、寝不足になる。寝不足が重なると睡眠負債が増えてしまい、勉強や仕事のパフォーマンスが落ちてしまうのです。
「睡眠負債」を発生させない3つの生活習慣
「睡眠負債」を発生させないためには、「睡眠時間を確保する」ということが大切です。
しかし、考え方によっては「睡眠の質」を向上させることで、睡眠時間を少なくても済むようにするというのもアリですね。
「睡眠負債」を発生させないために、睡眠の質を向上させる3つの生活習慣を紹介します。
- 起床から“4時間以内”に外の光を見る。
- 起床から“6時間後”に目を閉じて仮眠をする。
- 起床から“11時間”後に軽い運動をする。
この3つの生活習慣を身につけるだけで、みなさんの睡眠の質は向上します。そして受験勉強や仕事で今まで以上のパフォーマンスを出せるようにるはずです。
起床から“4時間”以内に「外の光」を見る
起床から“4時間以内”に外の光を見ましょう。
人間の体には脳を眠らせるホルモンがあります。「メラトニン」です。学習や仕事の効率をアップさせるためには「メラトニン」の分泌をコントロールすることが大切です。
人が光を感じることによってメラトニンの分泌をストップさせることができます。
その感度が最も高いのが起床後1時間以内です。その後は、光を感知する感度が低下していき、起床後4時間後には感度がゼロになるので「起床後4時間以内に外の光を目に入れる」ことが大切です。
起床から“6時間後”に目を閉じて「仮眠」をする
起床から“6時間後”に目を閉じて「仮眠」を取りましょう。
人間の脳は、脳の働きを保つために起床後8時間後と22時間後に、積極的に体を眠らせようとする働きが発生します。
例えば、朝7時に起きる人は午後3時と翌朝の5時あたりに眠くなります。
そんな時、眠気に負けてガッツリ寝てしまうと、夜寝られなくなり、結果として睡眠の質が落ちます。ガッツリ寝てはいけません。
そこで、眠くなる前の「仮眠」が大切になります。
例えば、起床後6時間後、ちょうど昼休みの時間に「仮眠」をしておくと、起床後8時間後に来る午後の眠気を防ぎ、睡眠リズムを整えることができます。
理想的な仮眠に必要なポイントを4つ紹介しておきます。
- 「眠くなる前」に行う
- 1~20分以内で行う
- 姿勢は座ったままで頭部を固定する
- 仮眠前に「〇分後に起きる」と3回唱える
眠くなる前に行う
眠気のある時に仮眠をすると、深い睡眠に入りやすくなります。深い眠りに入ってしまうと、起きた後にボーッとしたり、頭が痛くなったりすることがあります。なので、眠くなる前に仮眠をすることが大切です。
1~20分以内で行う
仮眠は10~20分間が理想と言われています。しかし、1分間目を閉じるだけでも脳を休憩させる効果はあるようです。10分以上の仮眠で、蓄積された睡眠物質が分解されて作業効率が上がります。
ただし、30分以上寝てしまうと深い眠りに入ってしまい、逆に夜に眠れなくなります。注意しましょう。
姿勢は座ったままで頭部を固定する
頭がグラグラと動く状態で眠るのは良くありません。
イスの背に寄りかかって頭部を垂直にしたまま目を閉じるのがよさそうです。どうしても頭が揺れる人は、首枕などでサポートするのがオススメです。
体力の回復もしておきたい時は、体を横にして仮眠すると良いでしょう。
仮眠前に「〇分後に起きる」と3回唱える
これは自己覚醒法と言われるものなのですが、眠る前に「〇分後に起きる」と3回唱えるだけでスムーズに起きることができます。これは夜の就寝時にも効果があるようです。
起床から“11時間”後に軽い運動をする
起床から“11時間”後に軽い運動をしましょう。
人間の眠りに深い関係があるのが「内臓温度」です。内蔵温度が高くなると元気になり、低くなると眠くなります。
この内臓温度の昇降にもリズムがあるのです。
内臓温度は起床後11時間後に最高になり、22時間後に最低になります。
なので、起床後11時間前後になる夕方あたりは、たとえ疲れていても、睡眠の質を向上させるために軽い運動でさらに体温を上げることが大切です。
仕事で運動ができない場合でも、座ったまま背筋を伸ばして姿勢よくするだけで内臓温度は上昇します。
肩甲骨を上げて、肛門をシッカリ閉める姿勢を5秒ほど続ける…この作業を数回繰り返すと良いでしょう。
逆に起床後11時間前後に仕事で疲れてしまって居眠りするのはダメです。寝ることによって内臓温度の昇降リズムが狂ってしまい、夜中に体温が下がりにくくなり、寝られなくなってしまいます。
「寝だめ」はやり方次第
日頃の寝不足を補うために、比較的時間のある日に長時間寝続ける「寝だめ」をする人がいますね。
しかし、「寝だめ」も上手にやらないと意味が無くなってしまいます。
そもそも、寝だめをすると逆に疲れを感じることがありませんか?この疲れは、寝だめが脳と体にある「生体リズム」を乱してしまうことによって引き起こされる疲れです。
「寝だめ」をする場合は、以下のポイントを守りましょう。
- 一度、平日と同じ時間に起きる。
- カーテンを開けるなどして部屋を明るくしてから、2度寝をする。
- 2度寝は通常の睡眠時間+2~3時間までにする。
すると「生体リズム」を崩さずに「寝だめ」することができます。
効果的な「寝だめ」をするためには、脳レベルで生活リズムを崩さないことが大切なのです。
「4-6-11の法則」で“睡眠上手のスキル”を手に入れよう
以上、ご紹介した睡眠の質を向上させるための方法を改めてまとめると…
- 起床から「4」時間以内に外の光を見る。
- 起床から「6」時間後に目を閉じて仮眠をする。
- 起床から「11」時間”後に軽い運動をする。
この「4-6-11の法則」が快眠の法則です。
この「4-6-11」が揃えば言うことナシですが、全てやろうと無理をする必要はありません。どれかひとつでも実現させることで、今より良い睡眠に繋げることはできます。
大切なことは1週間のうち4日間は実行することです。
体の調子は多いほうに同調する性質があるので、7日間のうち4日間乱れると体調が崩れる方向に傾きます。逆に7日間のうち4日間、整った生活が送れると、体調も整う方向に動くのです。
「4-6-11の法則」で“睡眠上手のスキル”を手に入れましょう。
「睡眠上手」は学習や仕事の効率をアップさせる重要スキル
近年、睡眠への関心が世界的に広がっています。
睡眠と脳の関係が科学的に証明されたことで、ビジネスの世界でも「集中力の向上」「ミス防止」「心身の健康」などを目的にした、睡眠マネジメントが注目されています。
つまり「睡眠上手」は、学習や仕事の効率をアップさせる重要スキルのひとつなのです。
さあ、今からやりましょう!
できることから少しずつ…体の仕組みに合わせた「睡眠法」で受験勉強や仕事の効率をアップさせましょう。そのことが夢や希望を叶える一歩になることは間違いありません。
≪参考文献≫
しんきん経営情報5月号 第44巻5月号 ダイヤモンド社「危険な睡眠負債を解消!パフォーマンスを上げる睡眠法」