今回は新任教師が初めての始業式までに大切にすべきことについて、筆者の考えをご紹介します。
とは言え、現役教師でまだ新年度のスタートの切り方に不安を感じている方にも、考え方の参考にしてもらえたらうれしいです。
目次
新任教師が初めての始業式までに大切にするべき3つの準備
新学期の始業式を前にして、不安を感じている先生方は少なくありません。
新任教師のみならず、現役教師ですらそれは同じです。
しかし、その不安は何をしても新学期が始まるまで拭われることはないでしょう。もしかしたら、その不安は新学期が始まった後もずっと消えないかもしれません。そんな不安を抱えた私たちをあざ笑うかのように、始業式はすぐにやってきます。
新学期がスタートして子どもたちとの生活が始まってからは、常に時間との闘いです。段取りが悪く必要以上に時間が掛かっても、その時は何とも思いません。しかし、その積み重ねが学期末に重くのしかかり、私たち教師への負担はますます大きくなります。
なので、私たち自身にこれからのしかかるであろう負荷を少しでも減らすことができるようにするために、始業式までに効果的な準備をしておく必要があるのです。
その「準備」について、現役小学校教師の私の経験をもとに以下の3つに絞ってご紹介します。
- 学校の文化や雰囲気を理解する
- 学校内の施設の位置関係や使い方を把握する
- 授業の準備よりも環境整備に力を入れる
学校の文化や雰囲気を理解する
文化や雰囲気は、学校によって大きく変わります。
どれくらい違うかというと、その違いが大きな場合は「日本とアメリカ」くらい違います。
ホントですよ。
使う言葉は同じでも、考え方や言葉遣いだけでなく「アタリマエの基準」が全然違います。
なので
は、赴任した学校で上手くやっていくためには絶対に欠かせません。
具体的には
- 子どもの実態
- 保護者の実態
- 名前の呼び方
- 注意の仕方
- 職員の仕事時間(何時くらいに帰っているか)
あたりの確認はしておきたいところですね。
意外と学校の雰囲気や文化が反映されているのが
です。
ある程度子どもの自主性が尊重されている「余裕のある学校」であれば、クイズや劇などの出し物を集めた会を、子どもたち主体でやるコトが多いでしょう。
生活指導に時間が掛かってしまったり、子どもたちに自主性を持たせる余裕のない学校であれば、単発でドッジボールやおにごっこなどの「学級遊び」やビデオ鑑賞会などをやるコトが多いと思われます。
これは信じ難い話かもしれませんが、担任が経費を全額負担して「たこ焼きパーティー」などを毎学期末にする学校もあります。今はもう変わっているかもしれませんが、私が赴任した学校での話ですのでウソではありません。
一概には言えませんが、前者が成立する学校は間違いなく子どもたちの生活に余裕があるはずです。
いわゆる理性の効く子どもたちが多いはずです。「子どもの落ち着き」を推し量るという意味で、ひとつの判断基準にしてみてください。
始業式が始まって子どもたちと触れ合う本番が来るまでに、ある程度の「学校の文化や雰囲気」に関する情報収集はしておきましょう。
そのための手段としては
ひとりではなく、複数の先輩職員から聞くことがポイントです。
学校への捉え方は人によって様々です。複数の証言から自分で整理して最大公約数的な情報にして理解すると良いでしょう。
ただし、教師の仕事は4月の初日から慌ただしく、コミュニケーションをとるタイミングや長さを間違えると周りに迷惑に思われることも考えられます。そうならないよう、相手に話しかけてよさそうなタイミングを見計らったり、回数を分けて聞くなどするようにしましょう。
学校内の施設の位置関係や使い方を把握する
新しい勤務校に赴任したら必ずやっておきたいことのひとつが
です。
どれだけ小規模の学校でも、学校は広々としている上に多くの特別教室や倉庫などがあります。
- 場所
- 出入口の鍵の場所と開け方
- 電気のスイッチやコンセントの場所
- 準備室の様子
くらいはチェックしておきたいところですね。
特に
- 体育館(体育倉庫)
- 図工室
- 音楽室
- 理科室
- 家庭科室
- 図書室
- パソコンルーム
- 給食室と配膳場所(段取りも含めて)
といった、普段の学級活動で活用しそうな教室については最低限ひととおりチェックしておきましょう。
そうなんです。
チェックすること自体はそんな手間の掛かるものではありませんので、前日でもやれることです。
しかし、そう思って後回しにしていると、その前日に他の仕事に忙殺されてついつい忘れてしまうのが人間です。
イザ子どもたちを教室外へ連れてい行くときに
なんてことの無いようにしておきたいものですね。
授業の準備よりも環境整備に力を入れよう
学級活動はそのほとんどが「授業」ですので「授業の準備をしなければならない」と思う人は少なくないはずです。
しかし
この場合の環境とは「教室」であり「職員室の机」であり「ロッカー」のことです。
具体的には以下のようなものが挙げられます。
- 各種学級名簿の準備
- 黒板用ネームプレートの準備
- ネームシールの準備(机・イス・ロッカー・靴箱)
- 掃除当番表の準備
- 給食当番表の準備
- 集金袋(や口座振替手続き)の準備
- 身体測定の報告用紙の準備
- 必要な文具品などの備品の準備
- 教室内の整備
- 校区地図の準備(家庭訪問で使用)
- 始業式に配布するプリント等の準備
- 自分の机やロッカーの整理整頓
- 不要なモノの破棄
- 指導要録の整理
- ノート・画用紙・台紙などの発注
- 教務必携(教師用スケジュール帳)への必要事項の記入
これらは私が過去、始業式までにやったことのある環境整備です。学校によって準備すべきタイミングや準備の手間が違ってくるので、これが全てとは言えません。
もっと準備すべきことがある学校も、準備しなくても良い学校もあるでしょう。
そのあたりの基準については「先輩職員に聞いたり、真似をしたりすべき」です。あれこれ気にかけて教えてくれる方もいますが、中にはそうでない方いますので、状況に応じて先輩職員とコミュニケーションを取って準備を進めましょう。
「教師は授業で勝負する」という言葉があります。
そして、新学期が始まるとその数日中に授業が始まります。
一旦授業が始まると、怒涛の如く授業を進めなければなりません。
どのように授業をすればよいのかを研究するということは、授業をした経験の乏しい新任教師の多くにとって最大の不安と言えるでしょう。
しかし、始業式までの間は「授業の準備よりも環境整備」に力を入れることをおススメします。
授業の準備は学級開きの後でやっても間に合いますが、環境整備を学級開きの後にするのは危険です。
学級運営に支障をきたし、場合によっては学級崩壊を引き起こす要因になりかねません。
例えば、環境整備ができていない学級はコトあるごとに教師がアタフタしたり、モノを探したりして、子どもたちの中に「空白時間」が生じることになります。この空白時間が子どもたちの手持無沙汰をもたらし、小さなトラブルの原因になりかねないのです。
また、教師の準備不足が原因で予定を変更せざるを得なくなった場合には、子どもたちに混乱が生じます。
朝渡す予定だったものが帰りに渡すことになった…たったそれだけのことであっても混乱をもたらします。その時の子どもたちの様子を観察したときに、見た目には何もなさそうであっても「子どもたちの内面に小さな混乱が生じている」のです。その小さな混乱の積み重ねが、子どもたちから落ち着きを奪う可能性のあることを知っておいてください。
教師であるみなさんが、滞りなく仕事を進められるようにするための「環境整備」は、子どもたちの落ち着きを保障することにつながる大切な準備なのです。
まとめ:教師の仕事をする上での優先順位は「今すべきこと」で判断しよう
この記事を読まれている方は、新任教師として、または講師として初めての教師生活を前にしている方がほとんどだと思います。
教師としての仕事が初めての方は、初めてであるからこそ不安であり、経験が無いために「自分が持つ不安の大きさ」を仕事の優先順位に反映させてしまいがちです。
でも、それは危険な進め方です。
を大切にしてください。
これは始業式までの間だけでなく、教師の仕事をする上で常にそう考えるべきだと私は思っています。
おそらく「自分が持つ不安なコト」を優先して仕事を進めたところで、その不安が消えることはないでしょう。なぜなら、教師の仕事は人間を相手にする仕事である以上「見通しが良くなるコト」などはないからです。
だからこそ、新学期を迎えるまでの準備は「見通しが悪い学級経営の中で、つまずきの原因になりそうな要因を取り除く」ことが大切なのです。
繰り返しになりますが、そのためには「今すべきこと」が何であるかを軸にして優先順位を判断し、仕事を進めていくことが大切です。
今回の始業式の準備を例に言うのであれば
- 学校の文化や雰囲気を理解する
- 学校内の施設の位置関係や使い方を把握する
- 授業の準備よりも環境整備に力を入れる
ことに集中することが大切なのです。
初めての教師経験をされる新任教師や講師の皆さんが、より良い教師人生のスタートを切られることを願います。
私も来る新学期に向けて取り組みます。
お互いに頑張っていきましょう。
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