教員採用試験対策を進める上で、参考書や問題集選びは大切です。
そんな疑問を解決するヒントになるよう、実物すべてを手にして目を通し、使ってみた私だいぶつが個人的な視点でご紹介させていただきます。
全受験生にオススメする「小学校全科」問題集&参考書を知りたい方はコチラ。
受験生タイプ別にオススメの「小学校全科」問題集&参考書を知りたい方はコチラ。
教職教養の問題集や参考書についてはこちらを参考にしてください。
目次
小学校全科「問題集」4つ
まずは、市販されている小学校全科の問題集を4つご紹介します。
①都道府県別過去問シリーズ
(協同出版)
まずは鉄板中の鉄板「都道府県別過去問シリーズ」(協同出版)です。
都道府県別に過去5年分をソックリそのまま掲載してくれている問題集は、日本全国どこを探してもこのシリーズしかありません。
教採対策の基本「受験予定自治体の過去問に触れる」ためにも必ず持っておくべき、超オススメの問題集。
- 〇 自治体別で過去問(複数年分)をそのまま掲載してくれている
- 〇 傾向と対策の情報が掲載されている。
- △ 何となく見にくい
- △ 品切れしやすい
地方自治体になると出版数が少なく、直前期はほぼ品切れになります。受験する自治体が決まったら早いうちに入手しておきましょう。
②小学校全科の演習問題
(時事通信社)
つぎは、時事通信社の「小学校全科の演習問題」(時事通信社)。
こちらは「青赤シリーズ」と言われている 参考書(赤)とのセット本になっている 演習問題(青) です。
市販されている小学校全科用の問題集の中では、問題量がイチバン豊富。
特に国算社理の主要4科目について、たくさんの練習問題を解いて地力をシッカリ伸ばしたい方にオススメ。算数の計算問題など理数系の超基本的な分野からシッカリ押さえたい人に向いています。
レベルも今の教員採用試験に合った標準的(高校受験)レベル。
卒業した高校がトップクラスの進学校で、小学校全科に時間を掛ける必要が無い受験生以外は、こちらの問題集を使えば間違いないでしょう。
- 〇教採雑誌「教員養成セミナー」の時事通信社による問題集
- 〇 参考書版「小学校全科の要点理解」と連動していて、学習しやすい
- 〇 分野ごとに見開き2ページで整理されてて学習しやすい
- 〇 頻出分野の算数「平面図形&空間図形」は8ページずつ問題が掲載されていて、十分な演習量を確保できる
- 〇 解説が問題集と別冊(切り離し可)
- 〇 算数の計算問題を含めてが問題量が豊富(計算から不安な人にオススメ)
- 〇 配色が黒と濃紺・薄青の3色で見やすい
③オープンセサミシリーズ問題集
(東京アカデミー)
ふたつめは、「オープンセサミシリーズ小学校全科問題集」(東京アカデミー)。
問題量は「青赤シリーズ」ほどではないですが、バランス良くひととおりの頻出問題は押さえられている感じです。
- 地元のトップクラスの進学校を卒業している
- 過去に教採を受けていて小学校全科の対策はある程度進んでいる
などで小学全科(高校受験)レベルの問題を解く力は備わっていて、知識や問題を解く感覚を思い起こすなど、精選された良問に絞って対策をしたい方にオススメです。
- 〇多くもなく少なくもない適量の問題数
- 〇巻末に回答・解説ページがついている(切り離し不可)
- 〇 解答・解説ページは問題ごとに区切られ、図形を使った解説が比較的多く、文字で埋め尽くされた感じも無くて見やすい
- 〇分野ごとに出題頻度、問題別に難易度(いずれも3段階)が示されている
④全国まるとご過去問題集
(協同出版)
3つめは、共同出版の「全国まるとご過去問題集#小学校教諭」。
パッと見た感じ「北は北海道、南は沖縄県まで」の小学校全科の問題そのままが掲載されている全国問題集かな・・・?と思うのですが
違います!
ちなみに、教職教養にあるような全自治体の出題問題が丸ごと掲載されている小学校全科の問題集はありません。
掲載されている問題は確かに前年度の問題そのままなのですが、かなり精選されていて、先にご紹介した2つよりも問題数は少ないです。
構成は各教科別に
- 「要点整理」
- 「演習問題」
- 「指導要領・指導法に関する実施問題」
の3部構成になっていて、①と③に割いている割合が多いので、一般的な演習問題をたくさんこなしたい方には向いていません。
あと、解答・解説が分野ごとの間に入っていて(問題→解答→問題→解答)筆者的には使いにくさを感じます。
昨年出題された問題に触れたい方にはオススメですが、全国を網羅しているわけではないので、微妙だと思っています。
- 〇 前年度の出題問題がそのまま掲載されている
- △ 黒一色でなぜか見にくい(自治体別過去問集と同じ感じ)
- △ 解答・解説ページが各分野の問題後についていて使いにくい
- △ 問題集ではあるが、ページ数の割に問題数が少ない
「問題集」3つを比較
ちなみに、今回ご紹介した「小学校全科問題集」のうち、下3つの特徴を「算数の図形問題」に焦点を絞って、表にしてまとめてみました。
下2つはあくまで筆者だいぶつの私見です。
どの問題集にも良さがあるので、みなさんの問題集に求めるポイントと合致させて入手してもらえたらと思います。
小学校全科「参考書」2つ
次に、小学校全科の「参考書」を私だいぶつ的なオススメポイントとともにお伝えします。
①オープンセサミシリーズ参考書
(東京アカデミー)
まずは、オープンセサミシリーズ「参考書 小学校全科」(東京アカデミー)
だいぶつ的オススメ度は ★★★★★
教員採用試験の小学校全科の参考書としての完成度は、現時点でおそらく最高レベルだと思います。
見やすさや解説の分かりやすさはモチロン良いのですが、イチバンのポイントは、実技試験のポイントについて丁寧に触れられていることです。
例えば「マット運動」であれば、教員採用試験で出題される可能性のある
- 開脚前転
- 跳び前転
- 倒立前転
- 後転
- 開脚後転
- 伸膝後転
- 側方倒立回転
- ロンダード
について
「膝を伸ばし、あごを上げ、マットをしっかりとみる」
といった「演技上のポイント」が人間の絵つきで丁寧かつ簡潔に解説されています。
加えて「指導のポイント」まであるので、面接、場面指導、模擬授業対策にも有効です。
他には
- 鉄棒運動
- 跳び箱運動
- 水泳
- ボール運動
についても、同様に書かれています。
他にも以下のような特徴があります。
- 〇 各教科、パート末ごとに確認問題がついている
- 〇 算数・理科は、各解説ごとに「例題」があり、「考え方」と「解き方」に分けて丁寧に解説されている
- 〇 家庭・図画工作・体育・音楽についても主要4教科同様な豊富で質の高い情報
- △ 要点が黒太字で、赤シート対応していない
②小学校全科の要点理解
(時事通信社)
次に、小学校全科の要点理解(時事通信社)。
小学校全科の演習問題(青の小学校)と連動しているので、セットで購入すると学習しやすいです。
解説も簡潔な文章で分かりやすく、重要ポイントが赤字になっているので、付属の赤フィルムシートですぐに勉強できます。
ただ、算数のみ説明文中にある[例]という表示とともに書かれている内容が「例題」だったり「例示」だったり・・・理科は(例)という表示で「例示」のみだったりして、一部統一感が無いところに使いにくさを感じます。
- 〇 青の小学校(問題集)と連動していて使いやすい
- 〇 すぐに赤フィルム(付属)で学習できる
- △ 図画工作・体育・音楽・家庭・外国語の情報量は控えめ
- △ 算数の[例]の扱いがあいまいで分かりにくさを感じる人がいるかも
小学校全科「コンパクト参考書」3つ
小学校全科の参考書の中でもポケットサイズのコンパクト版があります。
外出で異動や待ち合わせの時にでもサッと出して復習ができたり、手軽に要点を押さえられるなど、時間が無くて忙しい人の味方です。
こちらコンパクト参考書についても、代表的な3つについてご紹介しておきます。
①小学校全科らくらくマスター
(実務教育出版)
まずご紹介するのは「小学校全科らくらくマスター」(実務教育出版)
移動中に基本事項の学習をしたり、直前期に対策をスタートして最低限必要なコトだけをチェックしておきたかったりなど「時間のない受験生」にオススメなポケット参考書の代表格。この「らくらくマスターシリーズ」は教職教養版もオススメです。
まず、この「らくらくマスター」の良いところは、出題頻度を「全国規模」だけでなく「自治体規模」でも示してくれている点。
受験予定の自治体の名前が入っている項目は優先的に取り組んでおくなど、チェックすることに優先順位をつけて対策効率を上げることができます。
また、赤シートが付属されているので、朱書きされた頻出用語の暗記作業を、購入後すぐに始められます。
ただ、確実に合格レベルに達するには、赤抜き部分に加えて、緑マーカー(赤シートで黒く消える)で追加チェックをすることが必要となるでしょう。
- 〇 単元ごとに加えて、単元内の項目ごとに出題頻度が3段階で表示されている上、さらに時間のない人用に最低限チェックすべき所を時計マークで示してくれている。
- 〇 特定の自治体で出題頻度が高い場合、項目に自治体名を示してくれている。
- 〇 要点が朱書きされていて、付属の赤シートを使ってすぐに対策スタートできる。
②即答型ポケットランナー小学校全科
(一ツ橋書店)
教採対策の教材としてあまりにも有名な超ロングセラー「ランナー」のポケットサイズ版。
本書は、穴埋めされた用語の答えがページの端に赤字で書かれていて使いやすいです。
チェック用として抜かれた用語数も多く、購入時のまま使っても、教採に出題される多くの用語を覚えることができます。
ただ、ところどころで以下のようなランナーらしい?超マニアックな用語がチェックされています。
(例1)虫に運んでもらう受粉を他家受粉、同じ花のおしべとめしべの間での受粉を自家受粉という。
(例2)花粉核は2個の精核と1個の花粉管核に分かれる。
そこはご愛嬌ということでスルーするか、万が一出たとき用に覚えるかしておきましょう。
- 〇 ページの端に答えが書かれているので、赤シートが無くても隠すものがあれば使える
- 〇 チェック用として抜かれている用語数がポケット版としては比較的多い
- 〇 KindleUnlimitedの読み放題対象の本なので、入会している人は無料で使える
- 〇 理科のまとめられ方が秀逸で覚えやすすぎる
- △ チェック対象の用語に出題可能性が極めて低い、超マニアックなものがある
③これだけ覚える教員採用試験小学校全科
(成美堂出版)
こちらは大手資格予備校のLEC監修の参考書。
内容的には先にご紹介した「小学校全科らくらくマスター」と同じ傾向の編集具合いです。
ただ、こちらは単元ごとに出題頻度が示されているのみなので、時間の無い場合の絞り込みが「らくらくマスター」より難しいです。
加えて、学習指導要領を中心に文章で赤抜きされていて覚えにくいところが多数あります。その点でだいぶつ的には「らくらくマスター」のほうが使いやすいと思います。
- 〇 大手資格予備校LEC監修
- 〇 冒頭に教科別で「出題傾向と対策」と「自治体別の出題パターン」が示されている
- 〇 単元ごとにABCの3段階で出題頻度が示されている
- △ 学習指導要領を中心に、文章ごと朱書きされているところが多数あり、覚えにくそう
小学校全科「学習ノート」3つ
最後に「学習ノートタイプ」の参考書兼問題集を3つご紹介します。
①小学校全科30日完成
(時事通信社)
まずは、小学校全科30日完成(時事通信社)です。
学習ノートタイプで最もコンパクトにまとめられた「30日完成シリーズ」。教職教養と同じく、教員採用試験対策の教材として人気のあるノートです。
1日4ページ構成で
- 国語、社会、算数、理科は各4日間(16ページ)ずつ。
- 生活・英語は2教科まとめて1日間(4ページ)。
- 音楽、図画工作、家庭、体育は各2日間(8ページ)ずつ。
- 学習指導要領が「国語・社会」「算数」「理科・生活」「音楽・図画工作」「家庭・体育・外国語/外国語活動」の括りで、各1日間(4ページ)
でまとめられています。
本書の冒頭にも書かれていますが、小学校全科の基礎的・基本的な事項を30日で学習できるように簡潔にまとめているものです。
頻出事項だけに絞って構成されているので、穴埋め部分だけではさすがに情報量が少なすぎます。
まずはこの30日完成の穴埋めで基本的なコトを押さえ、追加で重要な部分にチェックや書き込みをしながら知識を高めていくと良いでしょう。
- 〇 教採で問われる基本的・基礎的な事項を超絶コンパクトにまとめられている
- 〇 字の大きく、行間が広いので読みやすい
- △ 内容が精選されすぎて、合格ラインを超えたいなら追加でのチェックや書き込みが必須
- △ 本当に時間が無くて追い込まれた受験生用
②オープンセサミシリーズ セサミノート
(東京アカデミー)
次は、オープンセサミシリーズ セサミノート小学校全科(東京アカデミー)です。
ノート形式の学習教材であれば、個人的にイチバンオススメするのがこのセサミノートです。
30日完成よりも情報量が豊富で、ランナーほどマニアックな用語が入っていないので
「標準的な学習ノート」
と言えるでしょう。
文章量もノート形式の割に多く、参考書感覚で使うこともできます。
解説が必要なところがあれば「オープンセサミシリーズ小学校全科参考書」を補助として使うと良いでしょう。
- 〇 教採で問われる内容をほぼカバーできる範囲でまとめられている
- 〇 右端に書き込み欄があり、穴埋めの答えや追加情報を書き込める
- 〇 文章による説明が比較的多く参考書にもなる
- △ 時間の無い人には向かない
③小学校全科ランナー
(一ツ橋書店)
最後は、小学校全科ランナー(一ツ橋書店)です。
とにかく情報量が多い!というイメージのあるランナーですが、教職教養とは違って、小学校全科ランナーは至って標準的な情報量です。
全体のページ数は東アカのセサミノートよりも54ページ多いのですが、それは「音楽・図画工作・家庭科・外国語活動」の情報量が多いからです。
これらの対策をシッカリ進めたい方はランナーのほうが良いかもしれませんが、主要4教科(国語・社会・算数・理科)を中心に進めたいならランナーにこだわる必要はありません。
ただ、ランナーの理科はとても学習しやすいように情報が整理されているのでオススメです。項目別に「左側に図絵、右側に文章」でまとめられたカードが敷き詰められている感じで編集されているので、反復学習がしやすいと思われます。
敢えてマイナス面を言いますと、マニアックな用語(高校レべル)が所々で載せられています。少量ですので、覚えられなくても気にしないでおきましょう。
- 〇 教採で問われる内容をほぼ網羅する形でまとめられている
- 〇 右端に書き込み欄で、穴埋めの答えや追加情報を書き込める
- 〇「音楽・図画工作・家庭科・外国語活動」の情報量も豊富
- 〇 理科のまとめられ方が秀逸。
- △ 時間の無い人には向かない
- △ ぶ厚い(30日完成の3倍、セサミノートの1.5倍)
- △ 所々にマニアックな用語が入っている(超高倍率自治体対策向け)
まとめ:周りに惑わされず「自分に合った」問題集&参考書選びをしよう
今回は、教員採用試験の小学校全科対策でよく使われている問題集と参考書について、私だいぶつの視点でモノ申してみました。
どれも、教員採用試験対策に使われ、多数の合格者を出している教材ばかりです。
私の主観でイロイロと書きましたが、ココに書かれていることも含めて周りに惑わされず、自分に合った問題集や参考書を選んでみてください。
そのためには
くらいの気持ちでコレと思ったモノを迷わず手にして使ってみることが大切かもしれません。
とは言え、今回の記事がみなさんの問題集や参考書選びに役立てていれば嬉しいです。
読者の皆さんが秋に合格を手にされることを願っています。
頑張ってくださいね。