この記事では、教員採用試験の小学校を受験する方を対象に「専門科目(小学校全科)」の勉強法について、筆者の経験を元にご紹介します。
「小学校全科」は中学校や高等学校などの他校種とは違って、全ての教科が出題対象になっています。そして「一般教養」の出題範囲のほとんどが被るので、「小学校全科」の対策を進めることで「一般教養」の対策を進められると考えて良いでしょう。
ここでは「小学校全科」の勉強法に絞り、説明していきます。
🔽「小学校全科」について、難易度や内容など基本的な知識を知りたい方はこちら。
🔽「小学校全科」のオススメ問題集や参考書について知りたい方はこちら。
目次
鉄則は 「弱点をつくらない」こと
これは教員採用試験対策全体に言えるコトですが、「小学校全科」対策の鉄則も 「弱点=苦手をつくらない」 ことです。
小学校全科の厄介なところは、小学校全科の中に「国語、算数、社会、理科、英語、体育、音楽、図画工作」と最大8教科にわたる内容が問われることです。なので「算数の図形問題がダメ・・・」「社会がどうしても苦手」など弱点を持つ受験生が少なくありません。
こうなると、多くの受験生は「得意で不得意の穴を埋めよう」とします。
得意科目での高得点を狙って得意科目に時間をかけるのではなく、ここはイヤでも面倒でも不得意科目に時間を掛け、せめて「受験者平均」は取れるように力を引き上げるようにしましょう。
小学校全科に限った話ではなく、教員採用試験の対策は、「得意科目で不得意科目の穴を埋める」のではなく「得意科目で差をつける」という発想で戦えるようにしてください。
それだけで合格率がグンとアップします。
参考書と問題集は「自分の学習タイプ」から考えよう
試験対策に「参考書と問題集」は付き物です。
イロイロある教員採用試験の対策本の中から、どれを選ぶべきか迷いますね。
私は、参考書と問題集は「暗記用」と「実践練習用」に分けて考えました。
なぜなら、自分の学習タイプを考えた結果、知識の暗記と実戦練習は別メニューで取り組むのがベストだと考えていたからです。
人によっては 「実戦練習を重ねながら知識を高めていく方」 もいます。そういう方は「全国過去問題集」を何度も繰り返すコトで覚えていくようですので、参考書は不要なのかもしれませんね。
それ以外にどんなタイプの方がいるのかは分かりませんが、「自分の学習タイプ」を知り、それに合わせて学習計画を立てたり参考書や問題集を選んだりすることは、効率の良い対策の実現につながると言えるでしょう。
その上で大切なことは、自分の特性を理解して、自分で考え、判断し、勉強法を選択することです。
“一発合格者”が愛用した「問題集&参考書」
合格者が教員採用試験対策にどのような参考書や問題集を使っていたのか・・・は受験生にとっては気になるところですね。
そこで、小学校全科の対策でだいぶつが使用した参考書と問題集を紹介します。
自分なりに試行錯誤した末に選んだ参考書と問題集ですので、自信を持って「おすすめ」できます。
一発合格者のオススメ問題集
先にも述べましたが、小学校全科の対策をする上で、まず教材を以下の2種類に分類しました。
- 「知識を暗記」するための教材
- 「実戦練習」をするための教材
それぞれの分野で使った教材を紹介します。
「知識を暗記」するための教材
・オープンセサミシリーズ「小学校全科」参考書(東アカ通信教育教材:市販品と同じ)
・オープンセサミシリーズ「一般教養」参考書(東アカ通信教育教材:市販品と同じ)
・オープンセサミシリーズ「小学校全科」セサミノート(東アカ通信教育教材:市販品と同じ)
・中1~3年数学ニューコース「参考書」 (学研教育出版)
「実践練習」をするための教材
・オープンセサミシリーズ「小学校全科」問題集(東アカ通信教育教材:市販品と同じ)
・オープンセサミシリーズ「一般教養」問題集(東アカ通信教育教材:市販品と同じ)
・全国過去問題集(東アカ通信教育付録:非売品)
・〇〇県の小学校教諭過去問(協同教育研究会)
・模擬試験(東京アカデミー・協同出版)
人にはそれぞれ学習タイプがあります。
みなさんは、ココで紹介されるものをそのまま使うのではなく、自分の学習タイプに合ったモノを選ぶために試行錯誤されることをおすすめします。
スキマ時間を活用して学習できるTwitter問題集
アレもコレもたくさん試験科目がある中で、小学校全科の暗記を効率よく済ませたい…
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“一発合格者”が実践した「小学校全科」対策の流れ
私が行った「専門科目(小学校全科)対策の流れ」は以下のとおりでした。
- 希望自治体の「出題傾向」や「問題難易度」を把握する
- 参考書などを活用して必要な知識を暗記する
- 実践練習で問題慣れをする
希望自治体の「出題傾向」と「問題難易度」を把握しよう
希望自治体の「出題傾向」 や 「問題難易度」を把握することは大切です。限られた時間の中で教員採用試験の対策を効率よく進めるためです。
ここでみなさんに強調しておきたいことは
ということです。
自治体によってちがう小学校全科の「問題難易度」
実は、小学校全科に限らず、教員採用試験は自治体によって「問題難易度」がかなり違います。
例えば
具体的には、試験問題の多くが客観式(マークシート方式等)です。全問客観式の自治体も少なくありません。問題そのもののレベルも「公立高校入試レベル=中学卒業レベル」です。
反対に
具体的には、記述式問題に加えて、文章で回答する論述式問題が出題されることもあります。問題も「高校初級レベル」まで出題されることがあります。
このように「出題傾向」だけでなく「問題難易度」を考えると、勉強法の方向性を柔軟に変えていくべきなのは明らかです。
限られた時間の中で、正しい勉強法で対策を進めたいですね。
そのためにも、まずは 受験を予定している希望自治体の出題傾向と問題難度 を知りましょう。
そこで、希望自治体の「出題傾向」や「問題難易度」を把握するのに役立つのが「過去問題集」です。
“出題傾向や問題難易度” を知るなら 「自治体別過去問」
教職教養と同様に、小学校全科の過去問題集にも「全国版」と「自治体別」があります。
「全国版の過去問集」は、全国の教員採用試験の出題傾向を知るには向いていますが、希望自治体の傾向を知るには遠回りです。「自治体別の過去問集」は、特定の自治体の過去3~5年分の過去問が掲載されています。従って、希望自治体の傾向を知るには近道といえます。
つまり、希望自治体の「出題傾向」や「問題難易度」を知るには「自治体別の過去問集」を利用するのが近道と言えます。
そこで私は
・〇〇県の小学校教諭過去問(教員採用試験過去問シリーズ:協同教育研究会)
を活用しました。
「出題傾向」と「問題難易度」を対策に活かす方法
「自治体別過去問集」で対策を進める上で大切なのは
その軸がブレていなければ、サラっと読みながらでもガッツリ解きながらでも良いと思います。
ただ、同じやるのであれば、効率よく暗記や理解の作業ができるよう、方法は自分で考えて進めるべきです。私は以下のことを意識しながら進めました。
“分類”しながら過去問に触れる
私は「希望自治体の出題傾向を知る」ために
・毎年出題されていたところ
・数年に一度出題されていたところ
・全く出題されなかったところ
といった具合に「分類」しながら傾向をつかむ対策を進めました。
私はガッツリ問題を解きながらではなく、サラっと問題とその回答に触れながら進めました。ガッツリと問題を解かなかったのは、この作業に時間をかけたくなかったことと、本番直前に模擬試験的に解きたかったからです。
覚える“優先順位”をつけるための工夫
つかんだ傾向は、次の「知識を暗記する段階」で役立てなければなりません。ですので、覚える時に「暗記すべき優先順位」が分かるように工夫しながら進めました。
具体的には、希望自治体の出題傾向をつかむ作業と並行して、次の「知識を暗記する段階」で活用する参考書(人によっては学習ノート型問題集など)に
・メモをする
・付箋を貼る
・マーカーをつける
などの作業をしました。
最後の「マーカーをつける」というのは「緑のシート」を使うと覚えたい所が消えるように「赤マーカー」をつける作業のことです。 「過去問で出題されたところ」 や自分のサジ加減で 「狙われそう」 と思ったところに片っ端からマーカーをつけました。
過去問題集について「出題傾向を把握するためには全国のトレンドを把握すべきである」、従って「自治体別過去問」ではなく「全国版過去問でやるべき」との意見もあります。
大切なことは、何事も人の意見は 「参考にする」 という姿勢を貫くことです。最終的には ご自分で考え、決めた勉強法 を信じることです。その結果が「自治体別」であろうと「全国版」であろうと、それはみなさんにとって正しい勉強法なのだということを意識してください。
過去問で“出題ナシの分野”を放置しない
ここでひとつ、注意すべき点をお伝えしておきます。
傾向をつかんだ結果「過去問中に出題されなかったところ」を放置してはいけません。
過去問で出題がない=優先順位を低くするだけ
過去問で出題されたなったところは、覚える優先順位を低く設定するだけです。
傾向に関係なく試験に出題される可能性は十分にあります。
他の対策との兼ね合いの中、許される範囲で目を通すなりして覚えるようにしましょう。
放置分野=弱点をつくらない
放置する分野を作るということは、弱点を作るということ です。
「弱点をつくらない」ことは、どの試験においても絶対に守らねばならないことです。
弱点の存在は、確実に合格率を下げます。
どんなに苦手でも最低受験者平均は取れるようにしておきましょう。客観式のテストであれば正解できるレベルにはしておきたいところです。
参考書などを活用して「必要な知識を暗記」しよう
傾向をつかんだら(掴みながらでもOK)次の段階に進みましょう。「必要な知識を暗記する作業」です。知らなかったモノや覚えていなかったモノは「即理解!即暗記!」です。
私が、専門科目(小学校全科)対策で使った「知識を暗記するため」の教材は
- オープンセサミシリーズ「小学校全科:参考書」 (東アカ通信教育教材:市販品と同じ)
- オープンセサミシリーズ「一般教養:参考書」 (東アカ通信教育教材:市販品と同じ)
- オープンセサミシリーズ「小学校全科:セサミノート」 (東アカ通信教育教材:市販品と同じ)
です。
オープンセサミシリーズ「小学校全科:参考書」
私は、東京アカデミーの通信教育を受講していましたので、「オープンセサミシリーズ」は一式持っていました。
しかし、全部をフル活用はしませんでした。自分のやり易い勉強法に合わせて使い分けをしました。
専門科目(小学校全科)では主に
・オープンセサミシリーズ「小学校全科:参考書」 (東アカ通信教育教材:市販品と同じ)
を活用しました。「覚えるべき」と判断した部分を、「赤のラインマーカー」で線を引き、そこに「緑の透明シート」を乗せて覚える・・・これを徹底しました。
オープンセサミシリーズ 「一般教養:参考書 &セサミノート」
私は、専門科目(小学校全科)の知識を暗記するにあたって「参考書」だけでなく
・オープンセサミシリーズ「一般教養」参考書 (東アカ通信教育教材:市販品と同じ)
・オープンセサミシリーズ「小学校全科」セサミノート (東アカ通信教育教材:市販品と同じ)
を補助的に使いました。
これは、自治体の過去問題と参考書とを照らし合わせた時に、微妙に「小学校全科:参考書」だけではカバーしきれておらず、「一般教養:参考書」を並行して使用するほうが良いことに気付いたからです。
このように、掴んだ希望自治体の出題傾向を参考に、臨機応変に勉強法を検討し、実行することは大切だと思います。
システムノートタイプの「セサミノート」は、文学史など、図表などに使いやすさを感じた所のみ を使いました。そして、「一般教養:参考書」は、「小学校全科:参考書」ではカバーできていないところをチェックし、並行して覚えました。
システムノート式教材 「ランナー」 について
教職教養と同じく、筆記試験に必要な知識を覚えるのに多くの方が利用している有名どころは
・システムノート 小学校全科ランナー (東京教友会)
ですね。私の周りの受験生では「ランナー」等のシステムノートで覚える人が多かったです。
私は、自分の学習タイプから「東アカの参考書」のほうが やり易いと判断しました。
「ランナーは良書」だと思いますが、掲載されている情報量が多すぎるように思います。アレもコレも覚えようとすると、必要以上に時間がかかり、効率が悪くなると思います。その点、東京アカデミーの参考書のほうが、情報量が適量に絞られている ので、やり易いと思います。
「ランナー」で対策を進める人は特に、自治体別の問題集で、希望自治体の出題傾向や出題難度を正しく把握して、暗記する対象に優先順位をつけしましょう。
「実戦練習」で問題慣れをしよう
傾向を掴み、優先順位を守りながら知識を身に着けたら、それを活用する実戦練習が必要です。
私は実戦練習で
・全国過去問題集(東京アカデミー通信教育付録:非売品)
・模擬試験(東京アカデミー3回 & 協同出版1回)
を使いました。
全国版過去問題集は、どの出版社の問題集を使っても変わりないと思います。全国の試験問題と解答が掲載されていれば何でも良いでしょう。大きさや色使いなど、自分の好みに合わせて購入すれば良いです。
私は、東京アカデミーの通信教育に付録があったので使いました。
実戦練習で私が心掛けたことは以下の2点です
・実力を測ること(できていないところの把握)にこだわる
・制限時間内に終わらせることにこだわる
実力を測ること(できていないところの把握)にこだわる
実戦練習では「点数で一喜一憂しない」よう気を付けましょう。大切なのは、 「できなかったところを把握する」ことです。点数ではありません
なぜ「点数に一喜一憂」してはならないのか。
筆記試験は試験の目的(採用人数・倍率)によって問題そのものの難度が違うからです。つまり、同じ点数でも自治体や受験年度によって重みが違ってくるからです。
なので、「できなかったところを把握すること」にこだわりましょう。
出来なかったところは自分の弱点であり、実力のなさの表れです。できなかったところを即チェックし、本番で同じミスをしないように対策をしましょう。
制限時間内に終わらせる
これは受験テクニック的なコトですがとても大切な事です。制限時間を考えて、時間配分をマネジメントしながら問題を解いていく練習をします。
筆記試験では、絶対に「時間切れ」を起こしてはなりません。
そのために、どのようなことに気をつけて試験問題を解いていくのか。自分なりの「戦術」を考え、実行し、回答できる全ての問題を制限時間内に解くようにしましょう。
私は以下のような戦術を立てて、過去問で練習をしました。
- 全体を見渡し「自信のある問題と自信のない問題」「早く処理できる問題と時間の必要な問題」とを区別する
- 自信の“ある”問題の中で、早く処理できそうな問題を解く
- 自信の“ある”問題の中で、比較的時間のかかりそうな問題を解く
- 自信の“ない”問題の中で、早く処理できそうな問題を解く
- 自信の“ない”問題の中で、比較的時間のかかりそうな問題を解く
- 配点・出来具合・残り時間などによって、順番を前後させることを忘れない
教員採用試験の本番で「時間が足らなくて、できる問題が解けなかった・・・」なんて事が無いよう、日頃からの実戦練習で鍛えることが大切です。
「勉強法」は自分で考え、自分に合うやり方を探そう
以上、教員採用試験の小学校全科の対策について 「合格までの道のり」 として私の経験を元に説明してきました。
私はこの方法で「負けナシ3府県3連勝の1発合格」で受験生活を終えることができましたので、本記事でご紹介した勉強法に自信を持っています。
しかし、同じ方法で取り組めば誰もが同じ結果が出せるとは思いません。
それは、先述のとおり人には学習タイプがあり、その学習タイプによって勉強法には相性があるからです。あくまで参考程度にとどめておいてください。
何より大切なのは「自分で考えること」です。
自分のやり易い、暗記し易い方法を考える。そして、一度決めたら周りを気にせず、ガンガン進めていきましょう。
がんばってください。
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