この記事では、教員採用試験の小学校を受験する方を対象に「専門科目(小学校全科)」と「一般教養」の内容や難易度などについて説明します。
教採を初めて受験する方や、勉強の仕方など・・・小学校全科について知りたい方
と不安に思う方はぜひご覧ください。
その上で、小学校全科の詳しい勉強法や対策について知りたい方は、コチラの記事を。
また、よく使われている小学校全科の問題集や参考書(12種)の特徴を知りたい方は、コチラの記事を
またコチラの記事では、受験生タイプ別でオススメの問題集や参考書を紹介していますのでご覧ください。
目次
「小学校全科」と「一般教養」の内容とその違い
まずは専門科目である「小学校全科」と「一般教養」の違いを説明します。
専門科目「小学校全科」について
専門科目とは、教員採用試験の受験校種(小学校・中学校・高等学校・特別支援学校など)別に、その専門性を問うための試験です。
そして、小学校教諭の採用候補者を選抜するための専門科目「小学校全科」は、小学校で教える以下の10教科に関する知識が問われます。
・国語
・社会
・算数
・理科
・生活
・音楽
・図画工作
・家庭
・体育
・外国語(英語)
あと、上記10教科の「学習指導要領」も試験範囲に入ります。
一般教養について
それに対して「一般教養」は、小学校も含めた全校種の教採受験生に課される試験です。
名前の通り、一般的な教養についても出題されますが、その内容は主に以下の通りです。
・国語
・算数
・理科
・社会
・英語
・時事問題(教育時事含む)
見てお分かりの通り、小学校全科との違いは
- 時事問題(教育時事を含む)が出題されること
- 生活・音楽・図画工作・家庭・体育が出題されないこと
です。
なので、小学校志願者にとっては「小学校全科と一般教養では対策範囲が広く重なる」と考えて良いでしょう。
「小学校全科」の問題難易度
「小学校全科」の問題難易度は、自治体によりますが、おおよそ
です。
場合によっては「高校レベル」とも言われますが、大学受験のセンター入試を「高校レベル」と考えるなら、やはり 公立高校入学試験+α(高校1年程度)レベル です。
なので、小学校全科の問題難易度は、中学や高校の専門科目に比べるとかなり易しい と言えます。
しかし、国語・算数・社会・理科・英語を必須として、生活・音楽・図画工作・家庭・体育と・・・その数は自治体によりますが、教科数が多いので、幅広い対策が必要になります。
「小学校全科対策」最大のポイント
次に、高校入試レベルの「小学校全科」対策を進める上での最大のポイントをお伝えします。
それは
です。
具体的には、全科目を最低でも受験者平均はできるようにして、得意科目で差をつけられる ようにすることです。
これは、試験科目の多い教員採用試験全体にも言える対策ポイントです。
その理由についてはコチラの記事でまとめていますが
簡単に言うと、苦手=弱点を無くして全科目を受験者平均以上にして、得意科目で差をつけられるようにすると、失敗してもボーダーラインに残る可能性が高まるからです。
受験生の中には
という方がいますが、オススメしません。
それは「不得意科目の穴を得意科目で埋めてやっとボーダーラインに乗る」という形になるからです。この場合、何かで失敗するとたちまちボーダラインに届かなくなる危険性が高まります。
私自身、算数が超絶苦手で社会や理科の暗記科目で点数が取れるタイプでしたが、算数を受験者平均に引き上げることで、ボーダーを超える確率が格段にアップし安定感が増しました。
実際に、第一志望の自治体で失敗をしましたが、それでも合格することができました。
その算数の苦手を克服した経験はコチラの記事でまとめています。
「小学校全科」の勉強法は中学時代の成績?で変わる
何事も勉強・対策方法はその人が既に持っている知識や経験によって変わります。
小学校全科の難易度(出題レベル)は 「公立高校入試+α(高校1年)レベル」 です。
ということは、小学校全科対策の勉強法は
おおよその偏差値基準とそれぞれの勉強法について、以下の3つのタイプに分けられると考えます。
- 偏差値 65 程度以上 ⇒ 「思い出す作業が中心」
- 偏差値 57~63程度 ⇒ 「グレーゾーン」
- 偏差値 55 程度以下 ⇒ 「イチからやり直す」
※基準は公立高校入試を対象にした標準的な模擬試験で使用される偏差値の平均値
「偏差値」と言うと、わが国では偏差値アレルギーみたいなのがあるので、微妙に思われる方もいるでしょう。
しかし、小学校全科の出題レベルが「高校入試レベル」なのであれば、高校入学時に自分がどれくらい理解できていたかが、スタート地点としての目安になるのはご理解いただけると思います。
ただし、これらはあくまで目安です。
高校時代に成績を挽回された方については、この型にはハマらないでしょう。また、教科によって差が激しい方は教科別に対応を考える必要もあります。
グレーゾーンの方も含めて、あくまで参考程度にして最後はみなさんのご判断にお任せします。
次に、上記の①と③のタイプ別に勉強法のポイントについてご紹介します。
①「思い出す作業が中心」の受験生
先述のとおり、教員採用試験での小学校全科のレベルは、公立高校入学試験+αレベルです。
おそらく、それほど時間を掛けずに対策を進められるでしょう。このアドバンテージを活かして、教職教養を中心にした他の対策に時間を掛けましょう。
「高校受験で使った参考書など」を活用
最初は高校受験当時に使用していた参考書などが残っていれば、それを使うと良いでしょう。別の教材を使うより、中学時代を懐かしく思うと同時に、記憶の戻りがかなり早いと思われます。
もし、それが無かったり、使ってみてシックリ来ないなら、市販の教員採用試験用の参考書、サブノート、問題集などを活用すると良いでしょう。
教採用の参考書や問題集のオススメは、コチラの記事のタイプ④か⑤を参考にしてみてください。
体育・家庭科・音楽・図工・生活は「市販の教採用書籍など」を活用
もちろん、高校入試に課されなかった 「体育・家庭科・音楽・図工・生活」は、市販の教員採用試験用書籍を活用して、正しい知識を覚える方向で対策しましょう。
こちらの参考書は実技試験でもポイントになる点を分かりやすくまとめてくれています。
教採で小学校を受験される方は必携の1冊です。
③「イチからやり直す」必要のある受験生
中学時代に勉強不足で終えられた方。
高校時代に勉強不足が挽回されていなければ、小学校全科対策にガッツリ取り組む必要があります。過去の勉強不足を補うために、相応の時間が掛かる覚悟をしましょう。
基本は「市販の教採用参考書」を活用
まずは、自分に合った教材を選定し、気持ちを入れて取り組みましょう。
イチからやり直すなら、まずは出題傾向に合わせてまとめられている、市販の教採用参考書や問題集を活用しましょう。
教採で小学校を受験される方にとって必携の参考書はコチラ。
この「オープンセサミシリーズ 小学校全科 参考書」は主要教科(国語・社会・算数・理科)はモチロン、それ以外の教科についても出題されうる範囲をシッカリと網羅する形で分かりやすくまとめてくれています。国語辞典のような分厚さですが、実技試験対策でも参考になる参考書なので超オススメです。
その他の市販されている教採用参考書や問題集のオススメについては、コチラの記事 を参考にしてください。
算数や英語が苦手なら「中学参考書」を活用
算数(数学)や理科の物理でよくあるのですが
教採の参考書や問題集では 解説が簡単すぎて理解ができない 場合があります。
そういう方はこのような、中学生が使う標準レベルの参考書を活用して、より基本的なところから取り組みましょう。
教採参考書は、教採を受験する方々の平均値に合わせて編集されています。なので、基礎の基礎からやり直す必要のある方にとっては、解説が簡単すぎて理解ができないのは普通のことです。
場合によっては小学校レベルからのやり直しが必要な場合もあります。
それは自分の実力不足が原因です。「仕方ナシ」と理解して、自分のレべルに合った教材から始めましょう。
自分の力を信じる
教採対策で「イチからやり直す必要がある受験生」にとって大切なマインドは
です。
教員採用試験、特に小学校は一般に言われるほど難関な試験ではありません。
焦らず、ジックリと…でも効率の良さは求めながら…
と劣等感を感じながら先の見えない闘いを続けるのは精神的に厳しいものがあります。
しかし、特に小学校の教員採用試験は「自分の力を信じて」正しい勉強法で努力を続ければ、余程の不適性がなければ合格できます。
少なくとも、中学時代よりは記憶力以外の学習能力はアップしているはずです。「大人の力」で過去の自分に打ち勝って合格をつかみましょう!
英語」の傾向や難易度の変化に注意
教員採用試験の小学校全科で今後の動向に注目すべきなのは「英語」です。
今まで英語は、片手間程度の出題に留まっていました。しかし「小学校での教科化」が始まり、英語を専門科目として扱う自治体が増えています。今後の小学校全科での英語の難易度の上昇と配点の増加は時間の問題です。
英語は算数(数学)と同様に、一定のレベルを超えると「基本事項の丸暗記」では太刀打ちできなくなる教科です。英語に苦手意識を持っている方は試験の動向に注目し、状況によっては早くから対策を始めるようにしましょう。
「英検」 や 「TOEICスコア」 など、英語に関する資格が加点対象になっている自治体が多くあります。逆に自信のある人は、これらの資格を取得して、採用試験を有利に進めてください。
小学校全科は所詮「公立高校受験+αレベル」
なんて書くと、見下したような言い方で気を悪くされる方がいるかもしれません。
しかし、中学校教諭や高校教諭の専門科目とは違い
一般に言われる難関試験と比べると、この程度で「難しい」とか言ってると笑われるレベルです。
しかも、高得点を求められるわけでもありません。
倍率の低い自治体だと4割(ホントです)、比較的高倍率の自治体でも8割で十分に合格圏に入る…つまり、公立高校の上位校を突破するよりも合格ラインが低い…そんなレベルでの話です。
そう考えると、個人的に難しく感じることはともかく、一般論として教員採用試験の小学校全科が「難しい」なんて言えないコトは理解いただけると思います。
小学校全科が中学や高校よりも厄介なのは範囲が広いことであり、苦手科目の受験を強いられることです。特に暗記でカバーしきれない数学や理科の物理あたりが苦手な受験生は 「暗記+演習」 の繰り返しで、知識の運用力を鍛えましょう。
とは言え、所詮「公立高校受験+αレベル」です。
早期にスタートさせ、正しい勉強法で時間を掛けて取り組めば、殆どの方が「合格ライン」を超えることができるでしょう。
頑張ってください。
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