教員採用試験は新卒の大学生はもちろん、社会人からの転職組や講師の方などイロイロな方が受験されます。
そんな中「講師経験」が教採に有利なのか不利なのか気になる方が多いと思います。
かく言う私も「講師経験」の無い中で転職組として受験をしましたので、年齢の割に教師としての実務経験が無いことが教員採用試験にどう影響するのかとても気になりました。
そこで今回は、教員採用試験において有利と言われる「講師経験」にはどのようなメリットがあるのか。逆にデメリットは何なのか。そして、そのデメリットを解消する方法まで。
あくまで個人的な見解ではありますが、受験生時代から10年以上にわたってたくさんの受験生や受験指導のプロ、そして教採面接経験者と交流を続けている私なりの考えをお伝えさせていただきます。
目次
教員採用試験での「講師経験」のメリット
まずは、教員採用試験で有利と言われる理由「講師経験」のメリットについてお伝えします。
それはズバリ
という点です。
「講師経験」は唯一&最強のメリットになり得る
講師経験者が「現場を知っているが故に、即戦力アピールしやすくなる」とはどういうことか、掘り下げて説明しますと
という「即戦力アピール」をしやすくなる、ということです。
もう少し具体的に説明します。
講師経験があれば
- みなさんが教師として立った現場でいじめがあった。
- 教師に反抗してくる子どもがいた。
- 相談をしてくる保護者が現れた。
- 勉強が分からずに困っている子どもがいた。
そんな時に、思い付きで突拍子もないコトをするんじゃなくて
自分には現実的な対応を思いついたり判断して実行する力がある!ということを教採の場でアピールしやすくなる、ということです。
この点は、講師未経験者に比べて「講師経験者」のほうが、教採では圧倒的に有利です。講師経験者は実際に現場を経験し、実績を残してきているので当然のことです。仮に経験の無い新卒受験生が同じことを述べたとしても「説得力」が違います。
これはとてつもなく大きな強みです。
たとえ「講師経験」が半年程度の経験であっても、その経験と実績の有無は採用する側としてはものすごく大きいのです。
なぜなら、基本的に新任教師はほとんど研修のないまま4月から教壇に立つことになるからです。採用する側は、既に現場で活躍している先輩教師と同じように無難で現実的な対応ができる人、つまり「即戦力になる人」をできるだけ採用したいのです。
逆に、現実を無視して突拍子もないオリジナリティにあふれたコトをしてしまいそうな人は、将来性はあるかもしれません。しかし、大切な子どもたちを預かる仕事であるが故に、リスクが大きすぎて採用に踏み切れないのです。
そういう意味で「現場を知っていて、すでに教師としての実績を残してきている」というのは、講師経験者にとても有利なポイントなのです。
たったひとつのメリットではありますが、即戦力を求める傾向の強い教採においては、この
と言えるのです。
なので、講師経験持ちながら教員採用試験を受験される方は、自分の講師経験を活かし、面接・討論・小論文などで問われるあらゆる質問に対して、ご自身の経験から培った教育観と現場感覚に基づいた返答ができるように準備することが大切と言えます。
教採対策で準備すべき最優先事項と言えるかもしれません。
「講師経験」はやり方によってはデメリットに
しかし、この「講師経験」のメリットには落とし穴があります。やり方を間違えると大きな「デメリット」になってしまうのです。
それは
ということです。
つまり、採用する側に
と思われてしまう恐れがあるということです。
この話は次のデメリットの所でお話させていただきます。
教員採用試験での「講師経験」のデメリット
次に、教員採用試験で「講師経験」が及ぼしうるデメリットについてご説明します。
デメリットは「講師経験」を持つ方全員にあてはまるわけではないのですが、私が考えるデメリットを3つを挙げさせていただきますと
- 講師経験が無条件に有利だと勘違いしてしまう?
- 講師生活とともに受験回数が増えると不利になる?
- 教採対策の時間が取れない
この3つになるかな?と思います。
以下にそれぞれの説明と、その克服方法につてい考えていきます。
① 講師経験が無条件に有利だと勘違いしてしまう?
まず、講師経験を持つ人が教採で持ちうるデメリットとして
ことが挙げられます。
先ほど「メリット」の部分で「講師経験は唯一で最強のメリットになり得る」とお伝えしたことと矛盾するようですが、そうではありません。「講師経験」は使いようであり、使い方を間違えるとデメリットになるという「諸刃の剣」そのものなのです。
「講師経験がある!」だけではダメ
受験生であるみなさんの中に
と思ってる方はいませんか?
これは私が受験生時代の話なのですが、面接練習で同席した受験生の中で
と仰る8割くらいの方が、その経験について語ると、その内容が素人でも答えられるレベルの薄いものであることがほとんどでした。
つまり、講師経験がありながらも、その貴重で教採突破のために強力な武器になるはずの講師経験を上手に深く語れる人が意外と少なかったということです。
例えば、小学校で講師として活動してきた実践を述べる時に「特別支援学校の児童との交流会などを行いました」という話を受験生が切りだしたとします。
そうすると、面接官からそこを掘り下げる目的で感想を聞かれることがあります。
その際に、多くの講師経験者は
くらいの話しかできない人が多く、その後の話をしたとしてもシドロモドロで頼りないのです。
本来、この手の質問は「講師経験者」にとっては絶好のキラーパスなわけで
と言わんばかりに
そこで子どもの変化や様子を
・多様性を認める心の育成
・共生社会
・インクルーシブ教育
といった一歩踏み込んだ視点、活動のねらいにのっとった視点で話ができるべきです。
と言えます。
でもそれができない講師経験者が多いのが現実なのです。
先例のように「講師をやってます!」とは言うものの、講師での経験を深く適切に話ができない受験生、上辺の話しかできない受験生に対して、採用する側は
と思ってしまうようなのです。
私が知る教採の面接経験者や受験指導のプロの方が同様のコトを話されていましたので、間違いありません。
受験生側からして、講師経験していたら合格するなんて思っていなくても、聞いている側からするとそう思われるのです。
講師経験者は「講師経験がある!」「講師をしています!」だけではダメ!なのです。
講師経験を通して現場を知っている。
そして、先輩教師と同じように日々の課題を適切に考え、適切な取組みで解決しています。
だから今からでも現場にいる他の教師と同じように仕事ができます。
ということを
なんですよね。
それができなければ、講師をしていること自体は評価されない、と考えてください。
講師経験は人脈や忖度も期待できない
さらには、過去に会った受験生の中には
みたいなことを言ってる方もいました。
昔はそういう人脈を活用した忖度があったかもしれません。
ただ、今はそういう不正っぽいコトが極めてやりにくい世の中になってきています。
なので、もしそういう考え方で講師をされている方がいたら、考えを改めて講師活動に取り組んでもらえたらと思います。
② 講師生活とともに受験回数が増えると不利になる?
次に、講師経験持つ人が教採で持ちうるデメリットは
ということです。
これは選ぶ側、面接官側にも問題があるのですが、採用側も人間なので仕方がない部分がありますね。
受験生の講師経験が長い。そして受験回数が多くなると「何かあるのかな?」と疑いの色眼鏡で見られる
可能性が高まるのです。
これも、教採で面接官経験のある方が実際にそう仰ってました。
なので、講師年数や受験回数が増えれば増える程、教採合格へのハードルが他の受験生よりも高くなる可能性がある…ということは覚悟したほうが良いでしょう
ただ、そのデメリットへの対策はあると私は考えています。
それは
ということです。
何度も不合格になってきて「どうしてだろう?」と自分を振り返ってみた。
そして、この1年間はこんなところを変えて取り組んできた。
そしてこういう発見や変化があって成長できた。
というようなコトを、面接などの人物試験で採用側に伝えられたら良いのでは?と思うのです。
そんな、長年苦労してきたことを逆にプラスに変えられるアピールポイントを準備してみてください。
そうすれば、今まで何回落ちていても、そのことを踏まえてこの受験生はこの1年で変わったんだな
と感じてもらえる可能性があります。
そうすれば、落ち続けた過去でなく、この1年で変わったことを評価してもらえる可能性が広がるということです。
良かったら参考にしてみてください。
③ 教採対策の時間が取れない
そして、三つ目のデメリットは
ということです。
これはかなり大きく、明白なデメリットなのではないでしょうか。
特に常勤講師の場合は、一般の教諭と同様の活動をします。なので、本当に土日くらいしか教採対策の時間が取ることができません。
しかも、教育困難校で勤務されていたり、中学や高校で部活動の顧問をされていたりする場合は、その土日すら時間がないという惨状なのです。
そのような状況が原因で何度も教採に合格できないでいる方は
という方法を選択してみてはいかがでしょうか。
もちろんそれで必ず合格できるとは限りません。
しかし、筆記試験で点数が取れかったり、面接練習が足らなさすぎたり、対策に時間のかかる弱点があって、それが教採突破のネックになっているのであれば
という方法が現実的だと思うのです。
そのようにして、何らかの変化をつけて対策を進めていかなければ、このままずっと教師と受験生の二足の草鞋を履き続けることになりかねません。
そうはならないよう、冷静に、現実的に考えて対策を進めていかれることをオススメします。
講師経験は諸刃の剣…だからこそメリットとデメリットを冷静に捉える視点が必要
いかがでしたでか?
一般的に教員採用試験で有利とされている「講師経験」ですが、それは上手く使うことができれば「最高の武器」になり得ます。しかし、それができなければただの「重荷」になってしまいかねません。
つまり
なのです。
だからこそ、私たち受験生は、メリットを上手に活かすと同時に、デメリットを的確に捉えて副作用を抑える対応を適切に選択し、実行していくことが大切なのではないでしょうか。
この記事を読まれた「講師経験のある教採受験生」が、講師経験をフルに活かして有利に教員採用試験を突破されることを願います。
▼講師経験が無い方がハンデを克服するための方法を知りたい方はこちら。