教員採用試験対策を進めていく上で、まず最初に悩むことのひとつが「どの問題集や参考書を使うか」だと思います。
今回は、世の中にあるたくさんある問題集や参考書の中から、自分に合った問題集や参考書を選ぶためのコツを「3つのポイント」に整理してお伝えします。
- 自分に合った「問題集や参考書」を自分で選べるようになるためのヒント
- 自分に合った「勉強法」も自分でカスタマイズできるようになるためのヒント
- 世の中の「オススメ」に惑わされない自分になれるためのヒント
目次
情報発信者による「オススメ問題集や参考書」を鵜呑みにするな
今の情報社会では、教員採用試験に関するノウハウを始めとする情報がたくさん発信されています。
問題集や参考書についても、たくさんの受験経験者や受験指導のプロが「オススメ問題集や参考書」を紹介してます。
そのような中で気をつけたいのは
ということです。
もちろん、情報発信者による「オススメ」はウソではありません。
しかし、ブログやYoutubeなどの動画は一方通行の情報発信ですので、発信者は「最大公約数的」な情報しか発信できません。
双方向での個別コンサルティングではないので、個々のニーズに合った情報は発信したくてもできないのです。
なので、私たち情報を受ける受験生はそのあたりを考えて発信された情報を受け止め、問題集や参考書選びを進めていく必要があるのです。
問題集や参考書を選ぶ時の「3つのポイント」
そこで、本当に自分に合った「問題集や参考書」を選べるようになるためのコツを「3つのポイント」に整理してみました。
それがこちらです。
- 自分と相手と教材の特徴を知る
- どれを使うかは最終的に自分で考えて判断する
- 教材はつまみ食い方式で使う
①自分と相手と教材の特徴を知る
自分にとってベストの「問題集や参考書」を手に入れるための1つめのポイントは
です。
以下に、詳しく説明します。
自分の状態を知る
まず「自分の状態を知る」というのは「自分のコトを知る」ということです。
「小学校全科」を例にして説明しますと・・・
社会科は歴史も地理も公民も得意なので、対策は思い出すレベルの軽い勉強でOK…
だとか
算数は問題はないけれど、図形問題は苦手だから力を入れないとダメだ…
といった教科別、さらには科目や単元別で自分の得意不得意を自覚するということです。
教職教養を例にして説明しますと・・・
教育学部出身で学生ボランティアなどで学校教育にも触れてきていたりして、ある程度教職教養について理解できている人もいれば、通信教育で免許を取ったくらいで、教職教養については用語の意味すら理解できていない、という初心者レベルの人もいます。
そんなふうに、自己分析して自分の状態を自覚できるようにしましょう。
相手を知る
次に「相手を知る」というのは「受験する自治体の試験内容」について知るということです。
- 出題される問題の難度はどれくらいなのか…
- 全体に比べて配点はどれくらいなのか…
- 出題形式がマーク式なのか、記述式なのか、論述式なのか…
といった、試験の内容・傾向・形式などを正しく知ることが大切です。
例えば、出題問題の難度が中学レベルか高校レベルかで選ぶ問題集や参考書は大きく変わってきます。ちなみに、低倍率の自治体による試験は比較的問題が易しくなり、高倍率の場合は難しくなる傾向にあります。
教材の特徴を知る
次に「教材の特徴を知る」というのは、自分が手にしようとしている「問題集や参考書がどういう目的でどんな人を対象に作られているモノなのか」を知るということです。
例えば「教職教養」の問題集の中に「教職教養30日完成」という問題集があります。
この問題集は、良く出題されるところに絞って編集されているので、以下のような受験生に向いています。
- 低倍率の自治体を受験予定
- 教職教養の問題が平易だったり、配点が高くない自治体を受験予定
- ハイスコアではなく、効率良く合格ラインを超える力をつけば良い方
その一方で以下のような方には向いていません。
- 高倍率の自治体を受験予定
- 教職教養の問題が難しかったり、配点が高い自治体を受験予定
- どんな問題が出てもハイスコアを狙いたい方
難関校種や自治体の対策は、30日完成だけでは完成しないと思ったほうが良いでしょう。
しかし
という声もあると思います。
おそらくその方は「30日完成」だけではなく他の「+α」の対策として「30日完成」以外の問題集や参考書を活用したり、それまでの何らかの経験で教職教養に関する知識や思考を鍛えてきたりしていると思われます。
30日完成シリーズだけで、高倍率の校種や自治体に合格できるほど世の中甘くないと考えてください。
逆に「ランナー」や東京アカデミーが出してる「セサミシリーズの参考書」というものがあります。
どちらも言わずと知れたロングセラーですが、これらの教材はとにかく解説や説明の文章が多いです。なぜなら、特に東アカの教材は基本的に予備校での授業用テキストにすることを前提に作られているからです。
いわば教科書みたいなものです。
とは言え、教採対策予備校のテキストなので、学校の教科書みたいに全く出題されないところまで書かれてるワケではないです。
しかし、特に重要な用語になるとそれ対する説明量が多くなります。さらには、出題頻度が低い情報も含めて教採に出題されうる情報がほぼすべて載ってます。
なので、以下のような受験生に向いています。
- 用語の理解も含めて広く深く対策をしていきたい方
- 教職教養が難しい自治体でもハイスコアを狙いたい方
一方で、以下のような受験生には向いていません。
- 時間をかけられないので、よく出るところを抑えるだけで十分な方
- 低倍率だったり教職教養の配点が低い自治体を受験する方
- とにかく効率重視で仕上げていきたい方
特に対策に時間が取れない忙しい受験生がランナーや東アカの参考書を中心に対策を進めると、上手く進めないと苦しくなると思います。あまりに情報量が多く、かなりの確率で消化不良を起こすと思われます。
問題集や参考書っていうのはどれも特徴があります。それは、使う人によって「合う合わないがある」ということです。なので、教材を選ぶ際には「教材の特徴をとらえる」ということも大切にしてもらえたらと思います。
②最終的に自分で考えて判断する
自分に合った問題集や参考書を手にする確立を上げるためには
も大切です。
合格体験記や私のようにネットなどを使って情報発信している人に「コレがオススメですよ」と言われると、それを信じきってススメられた教材を手にされる方がいます。
また、教職教養で「コレ」と決めたら専門科目も一般教養も同じシリーズに揃えたがる方もいます。
そうではなく、先ほどご紹介した「自分と相手と教材の特徴」を考慮に入れて、使う教材を自分で考えて決めることが大切です。
さらに言うと、どれだけ自分と相手と教材の特徴を考えて教材を買ってみても、やってみて初めて「問題点が分かるコト」もあります。
例えば、自分なりに考えて決めた「東アカの小学校全科の参考書」で対策を進めながら
と思ったら、他の問題集も手にしてやってみる。
極端な話
と思ったら早いうちに30日完成も手にしてみて並行してやってみる…といった工夫、自分で考えて判断していく過程をどこかで作るべきです。
モチロン、何も考えずに情報発信者の言う通りにして合格する方もいます。
しかし、その裏では情報発信者の言うとおりにしてドツボにハマってる方もいる…というコトは知っておいていただきたいです。
ドツボにはまる可能性を少しでも減らしたいのであれば、やっぱり最終的には自分で考えて判断するコトを大切にしもらいたいです。
③使う教材は「つまみ食い方式」にする
そして、自分に合った問題集や参考書を選ぶ際に心がけるべき3つめのポイントは
ということです。
もう少し丁寧に言いますと、ひとつの試験科目の対策で軸にする教材をまずひとつ決めて、その教材を中心にしながら補助教材的なものをいくつか使いましょうってことなんですね。
つまり
ということです。
「小学校全科」を例にすると、小学校全科はひとつの試験科目ですが、実はその中に「国語・算数・社会・理科・英語・図工・家庭・体育」と、8つの教科が入っています。
そして、この8教科に対する受験生個々の得意不得意は人それぞれに違います。
さらに言うと、それぞれの教科には教科や単元があります。そして、その教科や単元ごとでも得意不得意は人それぞれに違うハズです。
例えば、算数は大きく分けると「計算・関数・図形・確率」があります。
計算も関数も確率もイケルけど、図形問題だけはサッパリダメだ…という人は結構いると思います。
つまり、中学時代にどの教科もマスターしてトップクラスの高校に進学しました!という方以外は、小学校全科の中の教科別、さらには教科の中の科目や単元別で知識、経験、センスに凸凹があるワケです。
しかし、問題集や参考書は、そのような受験生の凸凹とは関係なしに、基本的に全て同じレベルで編集されています。
そこに、受験生にとって対策上の「非効率」が生まれるのです。
そう考えると、例えば「小学校全科」をひとつの教材でカバーするのではなく、ひとつの教材を軸にしながら、イロイロな教材をつまみ食いしていくほうが効率良く対策できるのではないかと思うのです。
だいぶつの問題集&参考書選び体験記
実例として、私だいぶつの受験生時代の話をさせていただきます。
かつて教採受験生だった私だいぶつは、最初、何も分からない中で「東京アカデミーの通信教育」を取ることにしました。
すると、僕の自宅には東アカの参考書と問題集とセサミノート一式が届きました。勉強机の本棚にはセサミシリーズでイッパイになったのです。
その量の多さに圧倒されて
と思いつつも
と自分を納得させて、まずは「東アカのセサミシリーズありき」で教採対策を進めました。
でも、対策を始めて1週間くらいで
と違和感を感じるようになりました。そして、セサミシリーズ以外のイロイロな参考書や問題集を立ち読みしたり、買って実際に使ってみたりして試行錯誤しました。
結果的に
対策を進めるようになり、次第に対策が軌道に乗ってきました。
なので、終わってから振り返ってみると、東アカの通信教育で配られた教材は 全体の半分くらいしか使わなかったと思います。
受験生時代の「問題集&参考書」の組合せ
次に、具体的に私だいぶつが使っていた問題集や参考書を「教職教養」に限定して紹介しておきます。
私だいぶつは、教職教養については、用語の意味すらほとんど理解できてない超初心者レベルでした。そして、第一希望の自治体は教職教養の配点が大きかったので、合格率を上げるために8~9割を狙いたいと考えていました。
そう考えた結果
「東京アカデミーの参考書」
を軸にして
「全国過去問題集」
「自治体別の過去問題集」
そして
「東アカの答申に関する付録教材」と「時事通信や共同出版にうよる単発の有料講座の教材」
を使って対策を進めました。
「全国過去問題集」や「自治体別の過去問題集」を解きながら「東京アカデミーの参考書」に覚えるべきところを「シートを載せると黒くなって文字が消えるマーカー」でチェックしていく。
そして、1回目はジックリと読みますが、1度理解した後の2回目以降は、詳しい解説などは必要に応じて飛ばし読みしてチェックしながら覚えていくようにしたのです。
イマ再受験する場合の「問題集&参考書」の組合せ
しかし、今…もし今、私が公立学校に移籍するために再度教採を受験するのであれば、問題集や参考書は違う組み合わせを選ぶでしょう。
なぜなら、基本的に仕事をしながの対策になりますので、時間がありません。しかし、教師としての実務経験から、ある程度の知識と経験はある…つまり、最初の受験の頃とは自分の状態が全然違うからです。
具体的には
「教職教養らくらくマスター」を軸に対策を進めていくと思います。
この教職教養らくらくマスターは、追加で書き込まなくてもいいレベルで「出題されやすい項目」を中心に編集されていますし、用語への説明も適度に抑えられています。なので、追加の書き込みが必要な「30日完成」よりもチェックの手間が省けるし、「東アカの参考書」よりも不要な説明が少なくて、今の自分に合っているかな…と思っています。
もしかしたら違うかもしれませんが…(;’∀’)
そして、補助教材として過去問題集は
「教職教養よく出る過去問224」で効率良く進めていくと思います。
北から南まで全国の過去問を解いて分析する時間の余裕がないので、「良く出る過去問題」に絞って編集をし、適度な解説も入れてくれている本書を利用するのが効率的かな?と思うからです。
そして、教育時事対策として、ひとつくらいは単発で「時事通信社や共同出版の答申関係の有料公開講座」を受けるでしょう。
あと私が受験する自治体は「マーク式のみ」なので「全国過去問題集」については時間の許す範囲で全問マーク式の自治体の分だけ練習で取り組むと思います
自分に合った問題集や参考書を選びたいなら「自分で考えて動く」しかない
情報化社会が進んだおかげで、ブログや動画などを通して様々な人が自分の経験や、自ら調査した結果をもとにして、オススメ問題集や参考書を紹介されています。
しかし、その情報が必ずしも自分の状況に合ったものとは限りません。
そして、自分の状況に合った問題集や参考書は何なのか…その答えは誰も教えてくれません。
つまり「自分で考えて動いて」答えを出すしかないのです。
そのために必要なポイントをこの記事でまとめてお伝えしたつもりです。
- 自分と相手と教材の特徴を知る
- どれを使うかは最終的に自分で考えて判断する
- 教材はつまみ食い方式で使う
この3つのポイントをヒントにして、自分に合った「問題集や参考書」さらには「対策方法そのもの」をカスタマイズしていくようにしてみてください。
みなさんが教員採用試験を突破されることを願っています。
頑張ってくださいね(*‘∀‘)
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いやそれはちがますよ!
あの高倍率の自治体で30日完成を使ってで合格した人いますよ!