「教師が備えるべき資質・条件3つ」を文部科学省の公開資料から読み解こう

教員採用試験「その他」

「教師が備えるべき資質・条件」については、様々なところで議論や意見がされています。また、教員採用試験においても面接、討論、論作文でよく問われるポイントです。

そこで

「教師が備えるべき資質・条件3つ」

について分かりやすくお伝えします。

  • これから教師を目指そうとしている人
  • 教員採用試験の受験対策を進めている人

には、まず理解すべき内容であり、必ずどこかで役に立つ考え方です。

今回は、文部科学省が公表している資料の中で「最も分かりやすくまとめられている」と判断した資料を、教育現場でのシーンに置き換えて、具体的にお伝えします。

文部科学省発!「教師が備えるべき資質・条件3つ」とは

教師が備えるべき資質・条件は主に以下の3つです

文科省発!教師が備えるべき資質・条件
  • 教育的な情熱・真剣さ
  • 教育的力量を身につける姿勢
  • 総合的な人間力を高める姿勢

教育的な情熱・真剣さ

教育的な情熱・真剣さとは、つまり

教師として真剣に教育活動に携わる心づもり

のことです。

教師の心づもりに「教育的な情熱と真剣さ」があれば

何気ない子供からの話しかけに対しても、手を止め、体を子どもに向け、穏やかな表情で子どもと目を合わせ、相槌を打って話を聞くことができるでしょう。

毎日同じようなミスを繰り返す子どもがいても、あきらめずに丁寧に向き合って指導をすることができるでしょう。

時には突き放すような対応をすることも必要ですが、その後に必ず優しい声かけや子どもが前を向いて活動していけるような指導をすることができるでしょう。

また、どんなに時間が無くても、少しでも分かりやすい授業をしようと工夫や準備をするはずです。

時には教師がミスをすることもあります。

そんな時に自身の曲がったプライドを守るために「屁理屈」を並べて子どもたちを言いくるめるのではなく、人としてあるべき姿を示すために誠実な対応ができるはずです。

時には真剣に子供たちに謝ったり、自分の心の揺れを打ち明けることも大切です。

そんな教師に子供たちは惹かれ、必ず心を寄せてきます。

そういった、教師として取るべき態度・姿勢の基には、教師の心づもりに「教育的な情熱・真剣さ」といった資質・条件が不可欠だ…ということなのです。

 

文部科学省HP原文

教育的な情熱・真剣さ

優れた教師の条件の第一は、教育的な熱情と真剣さではないでしょうか。
いいかげんな姿勢・おざなりな態度で子どもに接しているのでは、教育者として失格です。
口先だけきれいごとを言ったり、見かけだけ取り繕ったりするような教師であれば、子どもの方でも卒業すればすぐに忘れ去ってしまうでしょう。
熱情・真剣さは、子どもに対する愛情の現れであり、また教職に対する使命感の現れでもあります。
それが具体的な姿としては、面倒見のよさとなり、厳しい中にも暖かい配慮となり、そしてまた分かりやすい授業・楽しい授業となり、印象深い入念な教材の作成・準備となり、きめ細かな指導として現れるのではないでしょうか。
教職に就くというのはこわいことでもあります。しかし、やるべきことをやってさえいれば、卒業して10年してからも、20年してからも、あるいは40年、50年してからも、懐かしく、また尊敬の気持ちを持って思い出してもらえるといった素晴らしい職でもあります。

文部科学省HPより引用

教育的力量を身につける姿勢

教育的力量を身に着ける姿勢とは

「気持ち」だけでなく、能力や技能を身に着けて実践するつもりはあるのか?

ということです。

子ども達と信頼関係を築くために、コミュニケーションを取る時に大切な知識や技術をを理解・習得し、実践できているか。

授業や個別指導で子ども達に学習指導をする時に必要とされる知識や技能を理解・習得して実践できているか。

自分のキャラクターに関係なく、子供たちを引っ張っていける迫力や存在感を示したり、時には温かい目で見守るなど状況に応じた立ち振る舞いの必要性を理解して実践できているか。

年齢、発達段階、子どもたちが置かれた状況に合わせた対応方法があることを理解し、実践できているか。

こういったことは、時代の流れに応じて常に議論や工夫を重ねられ、新しい考えや手法が生み出されています。

インターネットや読書、同僚の職員との交流を通して、常に時代や子供たちの実態に合った「教育的力量」を模索し続けることが大切です。

「これで良し」とするのではなく、ひとりでも多くの子どもたちにすこしでも成長できる機会をもたらすために、自らの力量を向上させようとする姿勢が、教師に求められる資質・条件なのです。

 

文部科学省HP原文

教育的力量を身に着ける

もちろん、熱情や真剣さは教職にとっての必要条件であっても決してそれだけで十分というわけではありません。実際に子どもを指導していくための具体的能力や技能が不可欠です。「教師は授業で勝負する」と言われてきたように、授業こそ教師が自分を賭ける場であり、また授業を見れば、その教師の教育者としての力量も見当がつくのです。だからでしょう、特に最近では、授業の技術的側面、手法的側面について広い関心が集まっています。
確かに、発問のあり方にしても、教材提示のあり方にしても、自主的自発的な活動の支え方にしても、説明や解説のポイントの押さえ方にしても、学習過程の診断とフィードバックのあり方にしても、論議し工夫すべき課題は少なくありません。さらには、板書の仕方、机間巡視の仕方、ワークシートの作り方、テスト問題の作り方等々、教師として心得ておくべき技術も数多くあります。
教職にあるものはこうした技術や手法をきちんと身につけなくてはならないのです。しかし同時に、技術や手法がいくら立派でも、それだけで良い授業ができるわけではないことも認識しておかねばなりません。良い授業と言われてきたものは、本来、技術や手法の良さといったことに単純に還元できぬものなのです。
例えば、人間的な迫力なり存在感なりがあるかどうか、という問題を考えてみることにしましょう。伏し目がちに小声でボソボソと語りかけるのでは、どんなに工夫した発問でも、説明でも、子どもの心に届きません。逆に、そこでの授業内容に教師自身がのめり込んで、熱っぽく話すような授業であるなら、少々技術的には難があろうと、子どもの方も巻き込まれて学習に集中し、よく分かりよく出来る、といった成果が生まれることになるのです。
同じような意味で、子どもの心をきちんとつかんでいるかどうか、という問題も不可欠の重要さを持ちます。教師が子どもの心をつかまないままで授業をしたのでは、面白い活動の場合にはいいとしても、少ししんどい活動になれば、子どもの方でソッポを向いてしまうことになります。もっと極端に、子どもに嫌われているという場合であれば、どんなにいいことを教師が口にしても、子どもの方はシラッっとしているだけでしょう。教師の側の迫力も、そういう場合には逆効果でしかありません。子どもに信頼され、その心をきちんとつかんだ上で初めて、授業の技術や手法が効果を持つのです。

文部科学省HPより引用

総合的な人間力を高める姿勢

総合的な人間力を高める姿勢、とは

教師としてある前に、人間としての魅力を生涯にわたって高めようとする考えと姿勢があるか

ということです

教師として最も大切なのは、授業の技術や手法ではなく、人としての魅力です。

教師は子どもたちと学校での生活を共にする中で、自分の人間性をさらけ出します。たとえ人としての理想像を「演技」したところで、必ずどこかで人間の本性は見えてしまいます。

そして子どもたちはそれを見逃しません。

そんな見え隠れする教師の本性が「魅力的」であることが大切です。

若い教師には若いなりに。年齢を重ねた教師には年齢を重ねたなりの魅力があるはずです。

また、趣向、考え方、性格に関係なく人それぞれに積み重ねてきたものが醸し出す「魅力」があるはずです。

そんな「魅力」の源になるのは、今までの積み重ねだけではありません。

教師としてのスタートを切ってから、ひとりの人間としての生き方が教師ひとりひとりの魅力を高めていくことに繋がります。

つまり、自らの魅力を高めるために、プライベートも含めた日常生活すべておいて「前向きに自分自身を成長させていこう」とする考えや姿勢が教師に求められる資質・条件なのです。

 

文部科学省HP原文

総合的な人間力を高める

こうしたことを考えると、教育においては教師の諸能力が全面的に問われるのではないか、さらには人間としての生き方やあり方までが全面的に問われざるをえないのではないか、と思われてきます。「先生-その姿を言葉」の事例にも、そのことが如実にうかがえるのではないでしょうか。教師は、子どもとの関わりを通じて、自分の人間としてのあり方の全てをさらけ出してしまっているのです。この意味で、教師に本当に必要とされるのは、授業の技術や手法でなく、総合的な人間力なのです。
こうした総合的な力量を身に付けるためには、言うまでもなく、日頃からの精進が不可欠でしょう。教師に必要とされる資質・能力として、諸外国でもさまざまなリストが提出されていますが、私たちは図に示すような諸点を不可欠なものとして考えています。ここにあるような能力・特性は、いずれも、教職にあるものにとっての努力目標です。日常の職務にとって必要となるものであると同時に、教職にある間ずっと、さらには生涯にわたって深めていくべきものと言ってよいでしょう。総合的な人間力としての<教育的力量>は、つきつめて言えば、このような方向で自分自身を伸ばしていこうと努力する教師にのみ実現するものではないでしょうか。

文部科学省HPより引用

参考資料について

今回参考にした文部科学省の資料は、「優れた教師が備えるべき資質・条件」と銘打たれた、兵庫教育大学名誉教授の梶田叡一教授(当時学長)によって書かれた資料です。

平成17年の中央教育審議会・義務教育特別部会で配布されています。

文部科学省HPの資料はこちら

配布されてからは時間の経過した資料ではありますが、現在も文部科学省HPに掲載されています。

内容的にも現代の教師に求められている資質・条件そのものであることから、これからも長い間、教師に求め続けられる「資質・条件」であることが分かります。

 

まとめ:文部科学省が求める「教師が備えるべき資質・条件」とは

以上、文部科学省が公式ホームページ上で公開している資料を基にして「教師が備えるべき資質・条件」について考えてみました。

文科省発!優れた教師が備えるべき資質・条件
  • 教育的な情熱・真剣さ
  • 教育的力量を身につける姿勢
  • 総合的な人間力を高める姿勢

これらの3点は、いつの時代になっても変わらないであろう「不易な資質・条件」です。

他人の子どもを預かり、学校生活を通して指導していく責任の重さを自覚して、これからもより良い教師像を目指して取り組んでいきたいですね。

今回ご紹介した「教師に求められる資質・条件」の解釈を、教員採用試験で自分の言葉で発信できるよう、ご自身の考え方と照らし合わせてご利用ください。

頑張ってくださいね。

 

また、Youtubeちゃんねる「だいぶつ先生ネット」でも同様の内容を動画と音声で解説しています。

よろしければこちらのほうもご利用ください。

 

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