今回は、2023年度(2024年度採用選考)公立小学校教員採用試験の都道府県別(自治体別)の倍率について
ランキング
推移
今後の予想
など、いくつかの視点でまとめてみました。
受験先、特に併願先を考える上での参考にしてもらえたらと思います。
過去分と比較できるよう、2021年度(2022年採用選考)・2022年度(2023年採用選考)の倍率も併記しています。
目次
2023年度・教員採用試験(小学校)の全国平均倍率は?
近年、教員採用試験の倍率は低迷し続けています。
特に小学校の倍率低迷は凄まじく、2023年(令和5年)度の教員採用試験(小学校)の全国平均倍率は2.0倍。2020年の全国平均倍率が2.7倍・・・なので、低迷する中でもさらなる低下傾向にあると言えます。
基本的に、教員採用試験のような選抜試験において「倍率(競争率)3倍以下」は、優秀な人材を選抜することが難しくなる「危険水域」だと言われています。全国平均がその危険水域を大きく下回っているわけですから、その深刻さが分かります。
しかし
採用側の「危険水域」は
受験者側には「大チャンス」
です。
なかなか合格できずに苦労されている方は、このチャンスをモノにしたいところですね。
詳しい教員採用試験の全国的な倍率の傾向などは、文部科学省の令和4年度(令和3年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況のポイントを参照してください(令和5年度・6年度は更新ありません)。
2023年度 小学校・教員採用試験 倍率ランキング
特に教員として働けるなら自治体に強いこだわりが無い・・・ということであれば「できる限り低倍率の自治体で受験する」というのも、合格をゲットするための作戦として間違いではありません。
そこで今回は、2024年の教員採用試験を受験される予定のみなさんに参考にしていただけるよう、2023年に実施された教員採用試験(公立小学校)の倍率を、自治体(都道府県)別にランキングにして比べてみました。
・倍率が低い自治体ランキング
まず、倍率の低い自治体ワースト10を紹介します。
小学校教員採用試験
低倍率ワースト10(2023年度)
2023年 | 2022年 | 2021年 | |
①青森県 | 1.1 | 1.4 | 1.9 |
①福島県 | 1.1 | 1.4 | 1.6 |
①佐賀県 | 1.1 | 1.3 | 1.3 |
④宮城県 | 1.2 | 1.4 | 1.7 |
④山形県 | 1.2 | 1.3 | 1.5 |
④福岡県 | 1.2 | 1.4 | 1.3 |
④長崎県 | 1.2 | 1.3 | 1.4 |
④熊本県 | 1.2 | 1.2 | 1.3 |
④熊本市 | 1.2 | 1.5 | 1.9 |
④鹿児島県 | 1.2 | 1.4 | 1.7 |
もう、低空飛行している自治体が多すぎてランキングになってません・・・(;^_^A
倍率の最も低いランキング1位は
「青森県」
「福島県」
「佐賀県」
でした。
それ以外の顔ぶれをみると、九州地方や東北地方の自治体が目立ちます。
昨年同様の傾向です。
トップ10は、何れの自治体も
1倍台
です。
また、倍率の推移にも注目してみてください。
このワースト10になっている自治体は、過去3年にわたって1倍台の超低倍率が続いています。これらの自治体はよほどの事が無い限り、来年度も低倍率になる可能性が高いと考えられます。
とは言え、ワースト10以外にも1倍台の自治体は他にもたくさんあります。
以下のような自治体が2023年度の教員採用試験(小学校)で倍率が1倍台でした。
小学校教員採用試験
競争率1倍台の自治体(2033年度)
2023年 | 2022年 | 2021年 | |
青森県 | 1.1 | 1.4 | 1.9 |
福島県 | 1.1 | 1.4 | 1.6 |
佐賀県 | 1.1 | 1.3 | 1.3 |
宮城県 | 1.2 | 1.4 | 1.7 |
山形県 | 1.2 | 1.3 | 1.5 |
福岡県 | 1.2 | 1.4 | 1.3 |
長崎県 | 1.2 | 1.3 | 1.4 |
熊本県 | 1.2 | 1.2 | 1.3 |
熊本市 | 1.2 | 1.5 | 1.9 |
鹿児島県 | 1.2 | 1.4 | 1.7 |
東京都 | 1.3 | 1.5 | 2.4 |
秋田県 | 1.4 | 1.3 | 1.3 |
千葉・千葉市 | 1.4 | 1.6 | 1.8 |
新潟県 | 1.4 | 1.5 | 1.8 |
山梨県 | 1.4 | 1.6 | 1.8 |
大分県 | 1.4 | 1.2 | 1.3 |
北海道 | 1.5 | 1.3 | 1.4 |
横浜市 | 1.5 | 2 | 2.4 |
富山県 | 1.5 | 1.3 | 1.6 |
山口県 | 1.5 | 1.7 | 2 |
愛媛県 | 1.5 | 1.7 | 1.8 |
宮崎県 | 1.5 | 1.8 | 1.5 |
島根県 | 1.7 | 1.7 | 1.7 |
茨城県 | 1.8 | 2.2 | 2 |
川崎市 | 1.8 | 1.8 | 2.1 |
新潟市 | 1.8 | 1.9 | 2 |
埼玉県 | 1.9 | 1.8 | 2.1 |
広島県・広島市 | 1.9 | 1.9 | 1.6 |
実に、28もの自治体での教員採用試験(小学校)が1倍以下の競争率になってしまっています。
・倍率が高い自治体ランキング
逆に、倍率の高かった自治体をランキングで整理してみました。
小学校教員採用試験
高倍率トップ10(2023年度)
2023年 | 2022年 | 2021年 | |
① 奈良県 | 4.5 | 3.9 | 5 |
② 徳島県 | 3.9 | 4 | 3.8 |
③ 京都市 | 3.8 | 5.5 | 4.3 |
③ 兵庫県 | 3.8 | 4.5 | 4.2 |
⑤ 高知県 | 3.6 | 6.7 | 8.1 |
⑥ 香川県 | 3.4 | 3.1 | 3.3 |
⑦ 栃木県 | 3.3 | 3.2 | 2.5 |
⑧ 仙台市 | 3.2 | 2.2 | 2.2 |
⑨ 神戸市 | 3.1 | 2.9 | 6.1 |
⑩ 京都府 | 3 | 2.6 | 3 |
⑩ 大阪府 | 3 | 3 | 3.2 |
2022年度の公立小学校の教員採用試験で、最も倍率が高かった自治体は「奈良県」でした。それ以外は「京都市」「兵庫県」といった関西地方の自治体が目立ちます。
とは言え、正しく選抜試験の性質が確保されると言われている「5倍」を超えているのは、ひとつもありません。
力のある方なら、どこの自治体を受けても合格できるレベルであることは間違いないようですね。
全国都道府県市別の倍率一覧表(2023・2022・2011年版)
つぎに、2023年度に実施した全国の都道府県別(自治体別)の倍率を一覧表でまとめたものをお見せします。
探しやすいよう、北から順番に整理しています。
また、こちらも倍率の推移が分かるよう、2021年からの3年分を横並びで表示しています。
ご自身が第一希望で考えている自治体、併願先で考えている自治体の倍率を確認してみてください。
全国都道府県・小学校教員採用試験
競争率一覧(2023年度)
2023年 | 2022年 | 2021年 | |
北海道 | 1.5 | 1.3 | 1.4 |
札幌市 | 2.2 | 2.9 | 3.2 |
青森県 | 1.1 | 1.4 | 1.9 |
岩手県 | 2.2 | 2.3 | 2.6 |
宮城県 | 1.2 | 1.4 | 1.7 |
仙台市 | 3.2 | 2.2 | 2.2 |
秋田県 | 1.4 | 1.3 | 1.3 |
山形県 | 1.2 | 1.3 | 1.5 |
福島県 | 1.1 | 1.4 | 1.6 |
茨城県 | 1.8 | 2.2 | 2 |
栃木県 | 3.3 | 3.2 | 2.5 |
群馬県 | 2.7 | 3.1 | 3.9 |
埼玉県 | 1.9 | 1.8 | 2.1 |
さいたま市 | 2.2 | 2.4 | 2.6 |
千葉・千葉市 | 1.4 | 1.6 | 1.8 |
東京都 | 1.3 | 1.5 | 2.4 |
神奈川県 | 2 | 2.1 | 2.6 |
横浜市 | 1.5 | 2 | 2.4 |
川崎市 | 1.8 | 1.8 | 2.1 |
相模原市 | 2.3 | 1.7 | 2.1 |
新潟県 | 1.4 | 1.5 | 1.8 |
新潟市 | 1.8 | 1.9 | 2 |
富山県 | 1.5 | 1.3 | 1.6 |
石川県 | 2.2 | 2.4 | 2.5 |
福井県 | 2.5 | 2.7 | 3.2 |
山梨県 | 1.4 | 1.6 | 1.8 |
長野県 | 2.5 | 2.7 | 2.6 |
岐阜県 | 2.3 | 1.8 | 1.8 |
静岡県 | 2.5 | 3.1 | 2.7 |
静岡市 | 2.6 | 2.4 | 2.2 |
浜松市 | 2.9 | 3.2 | 3.4 |
愛知県 | 2.2 | 2.2 | 2.5 |
名古屋市 | 2.8 | 2.5 | 2.8 |
三重県 | 2.4 | 2.7 | 3.1 |
滋賀県 | 2.4 | 2.4 | 2.7 |
京都府 | 3 | 2.6 | 3 |
京都市 | 3.8 | 5.5 | 4.3 |
大阪府 | 3 | 3 | 3.2 |
豊能地区 | 2.8 | 2.8 | 3.7 |
大阪市 | 2.3 | 2.8 | 2.9 |
堺市 | 2.2 | 3 | 4.6 |
兵庫県 | 3.8 | 4.5 | 4.2 |
神戸市 | 3.1 | 2.9 | 6.1 |
奈良県 | 4.5 | 3.9 | 5 |
和歌山県 | 2.5 | 2.6 | 2.6 |
鳥取県 | 2.6 | 2.4 | 2.2 |
島根県 | 1.7 | 1.7 | 1.7 |
岡山県 | 2.3 | 2.8 | 2.8 |
岡山市 | 2.5 | 2.5 | 3.1 |
広島県・広島市 | 1.9 | 1.9 | 1.6 |
山口県 | 1.5 | 1.7 | 2 |
徳島県 | 3.9 | 4 | 3.8 |
香川県 | 3.4 | 3.1 | 3.3 |
愛媛県 | 1.5 | 1.7 | 1.8 |
高知県 | 3.6 | 6.7 | 8.1 |
福岡県 | 1.2 | 1.4 | 1.3 |
福岡市 | 2.1 | 1.7 | 1.6 |
北九州市 | 2.2 | 1.9 | 1.7 |
佐賀県 | 1.1 | 1.3 | 1.3 |
長崎県 | 1.2 | 1.3 | 1.4 |
熊本県 | 1.2 | 1.2 | 1.3 |
熊本市 | 1.2 | 1.5 | 1.9 |
大分県 | 1.4 | 1.2 | 1.3 |
宮崎県 | 1.5 | 1.8 | 1.5 |
鹿児島県 | 1.2 | 1.4 | 1.7 |
沖縄県 | 2.9 | 3.3 | 4.1 |
2024年度の教員採用試験はこうなる!
今回、ご紹介しているランキングデータは2023に実施した教員採用試験に関する倍率です。
この記事をご覧の方の多くが
と思われているのではないでしょうか。
2024年度の公務員試験は全体的に難化する予想がされています。
終身雇用制の崩壊や世相の激しい変化などから、民間企業の不安定さを敬遠し、安定志向(公務員受験志向)が強まる・・・と予想されるからです。
しかし、私だいぶつは
と思っています。
むしろ、低倍率化がさらに加速し、場合によっては1倍を切る「定員割れ」を起こす自治体が出てくるかも・・・と予想しています。
その理由としては以下の4点が挙げられます。
- 教採は教員免許の所持、または”免許取得見込み”が受験条件である(思いつきでは即受験できない)
- 教員の多忙さが改善されていない(長時間の無賃残業、新任退職者・病気休職者の増加による不人気)
- 現場の教員不足が解消されていない(募集定員の維持or増加の可能性大⇒競争の易化)
- サラリーマン(副業禁止等の過剰な拘束)としての働き方を望まない人の増加(不人気傾向の加速)
特に、近年はSNSの普及で、マスコミからの発信が無くても教師のブラックな職場環境を感じ取ることができます。
その空気感から、2024年度も新卒の学生を中心に
といった傾向は変わらないと思われます。
また前年度との倍率推移から変化を見てみると
最も倍率がアップした自治体が仙台市の
+1.0
(2022年の2.2倍 ⇒ 2023年の3.2倍)
が最高です。
こいういったデータをもとに考えると、低倍率化の要因が大幅に変わらなければ、どの自治体も急激に倍率がアップして難化することはなさそうです。
どれだけ難化しても、競争率は前年比+1.0程度で落ち着くでしょう。
つまり
「2024年度の教採も超低倍率」
と考えてよいのではないでしょうか。
この大チャンスを活かして合格を勝ち取ろう
2000年前後に比べると、今の教員採用試験は信じられないくらいに合格しやすい状況です。
たとえ、教師の仕事が「大変だ」と言われても、教師の仕事に魅力を感じている方にとっては、今ほどその希望を叶えられるチャンスはありません。
そして、現在マスコミやSNSなどを中心に「教師の仕事はブラックだ!」と発信され、志願者が年々減り続ける中、自治体も現場も少しずつですが変わってきているようです。
むしろ、これからの教職員をとりまく環境は良くなっていくに違いない・・・と考えれば、今の状況は「大チャンス」と言えるでしょう。
しかし、5年後6年後もこの低倍率の状態が続くとは限りません。
転職することが「アタリマエ」になりつつある現代。この低倍率のチャンスを利用して、まずは教職の経験を積んでみる・・・というのもアリではないでしょうか。
新卒の方はもちろん、転職や復職希望の方々も、ぜひ受験を検討してみてはいかがですか?
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