
教採合格後、着任までの日々を過ごすみなさん

と思っている方に向けて、着任までに学ぶべき事とその手段についてご紹介します。
目次
着任準備で勉強するなら「教育技術」と「子ども理解」

着任に向けての準備として、教育に関する勉強をするのであれば
がオススメです。
着任までの準備として学ぶ「教育技術」
ではまず、着任までに学ぶべき「教育技術」についてお話しましょう。
「教科知識」と「教育技術」の違い

まずは、ここで言う「教育技術」と「教科知識」との違いを説明しておきます。
「教科知識」とは、授業を通して子どもたちに教える知識 のことです。
例えば
- 漢字や文章の書き方
- 面積の求め方
- リトマス試験紙の色変化
- 江戸幕府の歴代将軍
- 道徳的価値
といったものです。
そして、ここで言う「教育技術」とは、子ども達をコントロールするための方法 のことです。
例えば
- 分かりやすく知識を教えるコツ
- 効果的な叱り方(ほめ方)
- 崩壊しない学級経営のコツ
といったものです。
コントロールというと聞こえが悪いですが、どのような子どもでも前向きに学校生活を送れるようにするための方法と考えてもらえたら良いでしょう。
なぜ「教科知識」より「教育技術」なのか

着任までの準備としては「教科知識」よりも「教育技術」を優先すべきです。
なぜなら
です。
「教科知識」は、身に付けたものによっては的外れになる可能性があります。
例えば小学校なら、6学年、中学や高校は3学年あります。

特に小学校の場合は、知識の深さが浅いです。なので、既に知っているのものが多く、確認レベルで終わることが多いです。つまり、着任してからのスキマ時間で取り組んでも間に合うことがほとんどです。
そのような知識を頭に入れるよりも、遊びたいざかりで、集中力が散漫になりがちな子ども達をコントロールする方法…というような「教育技術」を学んでおくほうが役に立つ可能性が高いということです。
中学校や高校は「教科知識」も必要?

とは言え、中学校や高校では、求められる知識レベルは狭く深いものになります。特に高校は、教科書レベルを超えた知識が無いと生徒への説明ができない場合もあります。
そういう意味では、中学校と高校、特に高校では着任前に教科知識を増強する価値はあるでしょう。しかし、小学校同様に教科知識は受け持つ学年によっては着任した年度で使わない知識があります。そして、学ぶ知識の深さが増すほど、その知識が役に立つ確率は低くなります。

例えば社会科で地理も歴史も政治経済もメッチャ頑張って大学研究レベルまで準備したのに、初年は地理しかやりません・・・となると、コストパフォーマンス悪すぎだと思いませんか?
新任教師に深い知識が不要だと言ってるのではありません。
そもそも、私たちは教採の専門試験対策で、必要な知識はある程度学んでいるはずで、それ以上の知識を「着任準備」として学ぶ価値がどれだけあるのか・・・という話です。
正直、そこまでしなくてもいいだろうし、もっと学ぶべきことがあるのではないか・・・と思うのです。
どうしても教科知識を増やすなら・・・

ここまで、着任準備を進める上で教科知識を学ぶことをオススメしない話を進めてきましたが

という中学や高校に着任予定の方は、範囲を絞って教科知識を増やすことをオススメします。
具体的には
ということです。
人に教える立場に立つ以上は、自分の担当教科については苦手がないようにしておきたいものです。
教師になって、生徒から教科書範囲の質問をされたにも関わらずシドロモドロになってしまい

と思われたくないですよね。
例えば、高校数学で合格された方でも

というような苦手は誰でもあるはずです。
そういう苦手分野を補強して、苦手を無くしておくことをオススメします。
着任までに進めておくべき「子ども理解」
次に、着任までに進めておくべき「子ども理解」についてお話しましょう。
ザックリと「子ども理解」と言っても、子どもを理解する切り口はたくさんあります。
以下に、教師として進めるべき「子ども理解」の代表的な切り口には以下のものが挙げられます。
- 「年齢・発達段階」に応じた子ども理解
- 「先天的・後天的な障害」に応じた子ども理解
「年齢・発達段階」に応じた子ども理解
まずは
を押さえましょう。
幼稚園を含む就学前に始まり、小学校、中学校、高等学校と、成長していく子ども達には、最大公約数的な特徴があります。
教育心理学で言う
- ピアジェの認知的発達段階説
- フロイトの性的発達段階説
- エリクソンの発達課題説
のようなものです。
今は、これら昔からある理論と現代の研究成果をまとめた発達段階の傾向があるので、それを理解しましょう。

このような年齢・発達段階に応じた子どもの傾向を理解するだけで、様々な場面で見せる子どもたち態度のウラにある心の内を、ある程度ではありますが推し測れるようになります。
先天的・後天的な障害への理解
次に
を押さえましょう。
先天的な発達障害の具体例としては
- ADHD
- アスペルガー症候群
- 自閉症スペクトラム
- 学習障害
といったところが挙げられます。
また、後天的な障害の具体例としては
- 愛着障害
- 摂食障害
などが挙げられます。
障害という括りではないですが、不登校・自傷行為・うつ、自尊感情の低下による意欲の低下などもこれに含まれます。
なぜ着任までに「子ども理解」を進めておくべきなのか
着任までに「子ども理解」を進めておくべき理由は主に以下を挙げることができます。
- 着任後の子どもとの間のトラブルを予防できる
- 着任後のカルチャーショックを和らげることができる
着任後の「子どもとの間のトラブル」を予防できる
着任後に子どもたちとのかかわりの中で新任教師がやってしまいがちなミスのひとつに「対応ミス」があります。
例えば、小学校1年生の児童に普段自分が話をする時のスピードと語彙量で話をしても通じません。
また、思春期の生徒児童に時と場合を考えずに正論をぶつけると、本音を教師に言わなくなったり、学校に来なくなったりする場合があります。
こういった、教師と子どもとの間のトラブルを防ぐためにも「子ども理解」が大切です。
特に、初めて教壇に立つ新任教師の方々は、着任までに、相手をするであろう年齢層の子ども理解を進めておくことは、着任後の子どもたちとの関わりで「どう対応をするのか」を正確に判断する確率をアップさせることに繋がります。
着任後の「カルチャーショック」を和らげる
新任教師のみなさんは、着任するまでの間は基本的に大人と交流することが中心の生活を送ります。なので、言葉の受け答えなどのコミュニケーションをする時の思考回路が完全に大人脳になっています。
その状態で、着任して学校が始まると、コミュニケーション量の半分以上が子ども相手にガラっと変わってしまいます。
冷静に考えるとアタリマエのことですが
- 理解力
- 運動能力
- 反応
- 心の強さ
- 雰囲気
といった全てのことが大人とは違います。
そのギャップが、カルチャーショックとして大きな負担になることがあります。
子ども理解を進めておけば、このような着任後のカルチャーショックを和らげることもできるのです。
手段を選ばず学ぶチャンスを増やそう
今回は、これから教師として教壇に立たれる方、特に教採に合格した後の着任までの時間の過ごし方として、教師としてのスキルを磨くなら優先したいことを紹介させていただきました。
大切なことは、ご紹介させていただいたことも含めて
です。

といったふうに、手段を限定して自ら学ぶ機会を潰さないでくださいね。
本も動画も講演・セミナーも、未知の情報に触れられる機会であることには変わりありません。様々な手段を使って、新しい発見をして、新しい可能性を広げていきましょう。
何より、新しいモノに触れてみることへの抵抗感をなくしましょう。

みなさんの春からの教師生活が素晴らしいものになることを願っています。
頑張ってくださいね。