教員採用試験の受験生にとって自己PRどう書くのかは、志望動機と同じく頭を悩ませる問題です。
そこで今回は、自己PRの書き方を、3自治体3連勝の一発合格を果たした筆者の経験をもとに紹介します。
自己PRの例文もあります。
ぜひ参考にして、教員採用試験合格のきっかけにしてもらえると嬉しいです。
🔽志望動機の書き方について知りたい方は「コチラの記事」を参考にしてください。
目次
自己PRを書く上で「大切なコト」2つ
「自己PRは自分のスゴさを伝えなければならない」と思っている方はいませんか?
実はそんなことは全くありません。
のです。
①多くの合格者の自己PRは全然スゴくない
自己PRは「スゴさ」が無くても全く問題ありません。
なぜなら
です。
誰もが感心するような「スゴイ奴」が5人に1人もいると思いますか?
3府県3連勝の一発合格をした私も含めて、合格者の9割以上の自己PRに「スゴさ」はありません。
ハッキリ言ってありきたりの自己PRです。
と思っている人は安心してください。
②ウソは書かないほうが良い
なので、教員採用試験の志望動機を書く上で大切なことは
です。
どうしても、自分を大きく見せようと小さな話を壮大にしてしまったり、ありもしなかった話を作ってしまったりする人がいます。
しかし、そのような話は、自己PRを述べた後にされる質問でボロが出てしまいます。そうなると、たとえ、それ以外の質問でキッチリと答えることができても「ウソつき」のレッテルを貼られてしまい、合格ラインを超えることが難しくなります。
自己PRにスゴさはいりません。
ありのままの自分からウソでない自分の良さを伝えるコトが大切なんだ、という意識を強く持って書くようにしましょう。
自己PRの書き方&作り方の「ポイント」~例文あり~
では具体的に自己PRの書き方について説明します。
①合格者の自己PRの実例文
まずは、自己PRの例文をひとつ示します。
この自己PRは私が実際に教員採用試験で使用し、3つの自治体に合格した実績のある自己PRほぼそのままです。
エピソードの仕事については個人の特定につながる特殊な立場でしたので「カフェでのアルバイト」に編集していますが、PRポイントの方向性はほぼ同じです。
①結論
私の長所は「相手と心をつぐための努力を前向きに実行できるところ」です。
②エピソード
現在、アルバイトをしているカフェで、対応の難しかった常連のお客様がいます。よくクレームをつけてきたり、話かけても無視されたりする気難しい方だったのですが、そのお客様の接客をする中で、その方が毎日スポーツ新聞で阪神タイガースの記事を読まれていることに気づきました。
私は野球に詳しくなかったのですが、ニュースで試合結果をチェックしたり、野球中継を観てみたり、野球好きのスタッフと野球の話をしてみたりして勉強を重ねました。そして、そのお客様が来店された際には笑顔で挨拶しながらスポーツ新聞を手渡したり、「タイガース昨日勝ちましたね」と声をかけたりすることを続けました。すると、次第に気難しさがなくなっていき、お客様から自然なお声をかけてもらえるようになりました。
このように、私は相手と心をつなぐために、相手のことを理解し、相手に合わせた準備をするなどの努力を前向きな気持ちで実行することができます。
③PRポイントを教師の仕事にどう活かせるか
教師の仕事では、子どもとのコミュニケーションが重要だと思います。このような「相手と心をつぐための努力を前向きに実行できる」私の長所を活かして、教育活動に取り組んでいきたいです。
この例を元にして、自己PRの書き方&作り方のポイントを解説していきます。
②自己PRは三段階構成で考えよう
自己PRは
- 結論
- エピソード
- PRポイントを教師の仕事にどう活かせるのか
の三段階構成で作るようにしましょう。
上記の文章はやや長い(519字)ですが、おおよそ400~500字くらいでまとめると1分間で話せる長さになります。
①結論
これからの教職に活かせると思う自分の特徴を端的に書くようにしましょう。ココで注意したいのは「実績」ではなく「性格面」をアピールすることです。
具体的には「環境の変化に強い」「相手がだれであっても平等に接することができる」「ガマン強い」などです。
②エピソード
「結論」で述べた自分の特徴が活かせた過去のエピソードを入れるようにしましょう。
より具体的に述べることで説得力が増し、面接官にPRポイントが伝わりやすくなります。
後述しますが「活動過程」を伝えられるようにすることがコツです。
③PRポイントを教職にどう活かせるのか
最後は必ずPRポイントが教職にどう活かせるのかを述べましょう。
ココが明確でないと、自己PRになりません。
コツはサラっと「教職はこういう仕事だ」というふうに教職の本質を表現して、教職への理解があることも示しておくことです。
③過去の自分を振り返ろう
もし自分の良さがわからない人は「過去の自分を振り返ること」からスタートしましょう。
自分の良さが発揮された過去は自己PRの根拠となるので、面接でもネタとして使うことができます。
過去の苦難や課題をどう乗り切ったのかを振り返る
考えやすいポイントは「過去の苦難や課題をどのように乗り切ってきたか」を振り返ることです。
上記の例の中では②の青文字で書かれた部分にあたります。
基本的に何事も仕事は「課題のクリア」の積み重ねです。
なので、過去に自分が課題をクリアしたエピソードを入れると良いでしょう。
例えば、水泳クラブで記録が伸びなかった時に、コーチに相談をしたり、インターネットで調べたり、フォームをチェックするためにビデオで撮影して自己分析をしてみたり、筋力をアップさせるために食事面で工夫をしてみたり…といったことに取り組んだ過去があるのであれば「実行力」「粘り強さ」などをアピールすることが可能です。
エピソードに「スゴイ実績」は不要
自己PRに「スゴイ実績」はなくても問題ありません。
例の自己PRも「アルバイト」でのちょっとした誰にでもありそうなエピソードであり、「スゴイ実績」は皆無です。
自己PRは
です。
例文でも「気難しい客と打ち解けられたこと」よりも「打ち解けられるようになるまでの姿勢」をアピールしていることが分かりますね。
モチロン結果が伴っていることに越したことはありませんが、良い結果を前面に押し出すと、アピールポイントがズレてしまう可能性があります。
場合によっては「自慢」と捉えられてしまい、印象が悪くなってしまう場合もあります。
「性格面」のアピールポイントを前面に出すためにも「スゴイ実績」は敢えて伏せておくくらいのほうが良いでしょう。
できるだけ今に近い自分から考えよう
自己PRのポイントを探すために過去の自分を振り返る際は、できるだけ今に近い自分から考えましょう。
特に講師として勤務中に受験をされている方であれば、講師経験を振り返ってみるのもいいでしょう。
社会人となった今の自分をPRするのに、子供の頃の自分をPRしても説得力に欠けます。
もし、子供の頃にスポーツで全国制覇の経験があってそれをPRしたとしても、私が面接官なら
と聞くでしょう。
だって、過去イケてても今は全然ダメな人より、今を頑張れている人のほうが魅力的ですからね。
自己PRは今の自分が持つ性質をアピールする場ですので、できるだけ今に近い自分から考えることが大切です。
エピソードは教育関係でなくても問題ナシ
自己PRのポイントが発揮された過去を考える上で、教育にまつわるエピソードを強引に持ってきたがる人がいます。
特に、学生や転職組の受験生の中には、わざわざ自己PRや志望動機のために教育関係のエピソードを作ることを目的に子どもに関係するボランティア活動をしたり、教育関係のアルバイトを選択したりする人がいます。
教育に関係する活動をすること自体は良いのですが、都合の良い自己PRを書くために無理にする必要はありません。
なぜなら、自己PRに関するエピソードは教育に関係なくても全く問題ないからです。
今現在の自分が営業の仕事で頑張れているのであれば、そのエピソードから教職に活かせそうな自己PRを述べるようにしましょう。
④PRポイントが表れた「活動過程」を端的&具体的に
自己PRはPRポイントに説得力を持たせなければなりません。
そのためにするべきことは
です。
例えば、自己PRポイントが「粘り強さ」であれば、過去の自分の中から「粘り強さ」を発揮した「活動過程」を書くようにしましょう。
先述の例文で示すと、具体的なエピソードは以下の3点です。
- お客様が毎日スポーツ新聞で阪神タイガースの記事を読まれていることに気づいた。
- ニュースで試合結果をチェックしたり、野球中継を観てみたり、野球好きのスタッフと野球の話をしてみたりして自分のできる範囲で勉強を重ねた。
- そのお客様が来店された際には笑顔で挨拶しながら、スポーツ新聞を手渡したり、「タイガース昨日勝ちましたね」と声をかけてみたりすることを続けた。
特に太字の「気づき・勉強・笑顔で挨拶・声かけ・続ける」といった部分は、教師として仕事をしていくうえでとても大切な活動です。
これらの具体的な活動過程から、面接官は「この人、教師としてやっていけるかも」とイメージしてくれるようになります。
そして自己PR文を端的にするためには、できる限り「修飾語・修飾文」を省くことです。
「ちょっとしたことではありますが」や「忙しい中で大変だったのですが」というような、話を大げさに表現するような修飾語や修飾文は不要です。
不要な言葉をできるだけ無くして、内容の濃い自己PRに仕上げていきましょう。
⑤PRポイントを教職でどう活かせるかを考えよう
自己PRにもうひとつ欠かせないことは
です。
上記例文の③では
「人と心を通じ合うために準備や努力を前向きに実行できる」
という自己PRポイントを
「子どもとのコミュニケーション」に活かせる
と伝えています。
実際に、子どもたちの中には慣れない教師に反抗的な態度を取ったり、敢えて距離を取ろうとしたりして素直になれずにいる子が必ずいます。
上記例文は②で伝えたエピソードを基にして、③の文章で「そういった子どもたちに対して、どのように対処していけるのか」を面接官に伝えられる文章になっています。
PRポイントがどのようなものであっても、結局そのPRポイントが教職に活かされなければ意味がありません。
教員採用試験での自己PRは、自分が教師に向いていることを面接官に訴えられているような文章にしましょう。
⑥1分程度にまとめよう
最後に、自己PR文は状況に応じて短くしたり長くしたりして、自分の言いたいことを伝えられるように書くべきです。
そのためにはまず
面接で1分程度で話ができるような長さにまとめて書くようにしましょう。
具体的には400~500字程度が理想です。
そこから編集をして
- 30秒バージョン
- 15秒バージョン
を作っておくことをオススメします。
以下に、上記の例文の30秒・15秒バージョンの例文を示しておきます。
私の長所は「相手と心をつぐための努力を前向きに実行できるところ」です。
現在、アルバイトをしているカフェで、対応の難しかった常連のお客様がいるのですが、その方の興味や関心のあるコトについて調べたり、不愛想にされても笑顔で接客を続けたことで、今はお客様から自然なお声をかけてもらえるようになりました。
教師の仕事では、子どもとのコミュニケーションが重要だと考えています。「相手と心をつぐための努力を前向きに実行できる」私の長所を活かして、教育活動に取り組んでいきたいです。
私の長所は「相手と心をつぐための努力を前向きに実行できるところ」です。
現在も行っているカフェでのアルバイトで、その長所を生かして活動しています。
教師の仕事では、子どもたちとのコミュニケーションで私の長所を活かしていきたいです。
このように、短くなればなるほど文章が抽象的になります。
大切なことは、自分が伝えるべきことの優先順位を考えて残すことです。
削った部分は自己PR文の中では表現できませんが、面接官からの質問で具体的に述べるつもりで削っていきましょう。
まとめ:教員採用試験の自己PRは華やかさがなくてもOK!
以上、教員採用試験の面接での必須となる「自己PRの書き方&作り方」を例文も示しながらご紹介しました。
繰り返しになりますが、自己PRに「スゴイ実績」は必要ありません。
実際に合格者のほとんどの自己PRにスゴさはありません。誰にでも書けそうなショボイものです。
しかし、合格者の自己PRの多くは
- 自分の長所
- 自分の長所が表れているエピソードとその活動過程
- 自分の長所が教職にどう活かせるのか
の3点が明確になっています。
なので「普通の人生を歩んできた自分が自己PRなんてムリ」と思う必要はありません。
ありのままの自分の中から「教師に向いている」ことをアピールしてください。
頑張ってくださいね。
Youtubeの「だいぶつ先生ネット」でも自己PRの書き方を動画で解説しています。
ぜひ参考にご視聴ください。