この記事では、教員採用試験の「集団討論」対策として、「集団討論」の内容・形式から答え方のコツまで、押さえておきたい基本をお伝えします。
「個人面接」や「集団面接」について知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
目次
「集団討論」対策の基本 ~形式と内容について~
まずは、教員採用試験「集団討論」の形式や内容といった全体像について知りましょう。
教員採用試験の「集団討論」の形式や内容は、自治体によって微妙な違いがあります。
本記事では、標準的なケースを中心にご紹介します。
対策を進める皆さんは、過去問集や教員採用試験に関する雑誌、大学・予備校などにある卒業生が残した資料などから、自治体ごとの情報を入手して確認してください。
集団討論の「形式と時間」
形式
教員採用試験の集団討論は、受験生5~10人程度を1グループとし、面接官が2~5人が対応するケースが多いです。
そして、課されたテーマについて、同席した受験生で形成されたグループで討論をします。
テーマは口頭で伝えられるだけの場合もあれば、黒板に書かれたりする場合もあります。また、机上に参考資料に置かれていて、そこにテーマが記載されていることもあります。
また「グル―プ内で結論を出す」よう指示が出ることもあれば「結論は出さなくてもいい」と言われることもあります。
しっかりと、面接官から指示された内容に従って討論を進めることが大切です。
時間
教員採用試験の集団討論に要する時間は、おおよそ20~60分程度です。
集団面接と抱き合わせる場合はそれよりも長くなることがあります。
いずれにしても、形式同様に過去のデータを参考にして、心がまえしておくことが大切です。
集団討論の「内容・流れ」
教員採用試験の「集団討論」の具体的な「内容・流れ」について紹介をします。
教員採用試験の集団討論は、おおよそ以下のパターンで展開されます。
自治体によって前後することがありますが、おおよそ同じ内容です。
- 受験者の自己紹介
- 試験官から討論中のルール説明
- 試験官からテーマの提示
- 集団討論
1.受験者の自己紹介
集団討論に同席した受験者が、ひとりずつ自己紹介をします。
自己PRを兼ねる場合もありますが、受験番号と名前だけの場合もあります。
試験管から指示がありますので、指示を聞き、その指示内容に沿った自己紹介を行いましょう。
この時にメモが可能であれば名前をメモしておきましょう。
討論の際に使えるので便利です。
2.試験官から討論中のルール説明
試験官から集団討論中のルールに関する説明があります。
- 制限時間
- 役割分担の有無
- 結論の有無
など、説明された内容を正確に確認しましょう。
こちらも、可能であれば必ずメモを取るようにしましょう。
場合によってはグループ全体が脱線して、説明されたルールどおりに進まない場合がありあます。
その際には軌道修正が必要です。
軌道修正なく脱線したまま終わった場合、グループ全体が不合格になる場合がありますので気をつけたいですね。
3.試験官からテーマの提示
試験官から集団討論の「テーマ」が提示されます。
黒板に書かれたり、手元の資料に書かれていたりすることがありますが、口頭のみの場合もあります。
メモができるならメモをし、討論全体がテーマに沿って進んでいることを確認しながら参加するようにしましょう。
そして、テーマ通りに進んでいない場合は、他人やグループの脱線状況を否定することなく、上手く軌道修正したいところです。
4.集団討論
グループ全員で討論します。
役割分担があれば、その役割に応じた動きをしましょう。
教員採用試験の集団討論は、ディベートではありません。
なので、他人の意見を受け入れながら前向きかつ建設的に話を進めていくことが求められます。
終わり方も様々です。
制限時間一杯まで議論をして終わることもあれば、制限時間までにグループでまとめて報告する場合もあれば、最後にひとりひとりに討論を振り返って「ひとこと」を求められる場合もあります。
どのような形で終わっても良いように、常に話の流れに合わせながら自分なりの結論を考えていくことが大切です。
「集団討論」対策の基本~勝ち抜くための対応と答え方のコツ~
次に、誰もが気になる教員採用試験の「集団討論」で勝ち抜くための対応や答え方のコツを紹介します。
集団討論「対応のコツ」
教員採用試験の集団討論で上手く立ち回るためには
ポイントは「自分の考えを持つまでの思考訓練をする」ということです。
ニュースや新聞、本などから得た具体的な事実やデータをもとに、簡単でよいので、日頃から様々な話題に対して自分なりに考え、結論を出す思考の訓練をしておきましょう。
そして、教員採用試験の集団討論の本番では「貢献度・協調性・リーダーシップ」などが評価されます。
そういう事実を踏まえて、まず第一に
その上で、討論の進行状況を把握し、討論の流れに乗りながら積極的に発言したり、他人の意見を良く聞いたりしつつ、必要に応じてグループ全体をまとめていく…という力が要求されます。
なので、受験者が意識しておきたい「対応のコツ」は以下のようにまとめることができます。
- グループ全体で評価される意識を持つ
- テーマを意識する
- 時間配分を意識する
- 自分の「会心快心の一言」で決めてしまおうとしない
- 意見を言う時間は長くて1分程度
- 自分が話をしても良い回数を意識する
- 周りの存在を意識していることをアピールする
- 他の受験生を否定しない
- 集団によって立ち位置を変える
グループ全体で評価される意識を持つ
先にもお伝えしましたが、教員採用試験の集団討論では「協調性」が求められます。
その「協調性」を発揮するためには
そうすれば、自然とグループへの貢献を意識した動き…「協調性」が表れるはずです。
教員採用試験の集団討論は勝ち負けをつくるディベートではなく、グループで「話し合い」を進めていく試験です。
なので、どのメンバーもと討論に参加して皆が納得した上で結論づけていく形が理想的と言えます。
また、同席する受験生同士が討論の中で「仲間意識」を持てるようにするために、待合室で待機している間に、可能であればコ他の受験生とミュニケーションをとってみても良いでしょう。
お互いに少しでもコミュニケーションをとって「協力していきましょうね」という雰囲気をつくることができれば、緊張もほぐれて良い集団討論につながるでしょう。
実際に、グループ全体の良し悪しによって、全員が合格したり、全員不合格だったりすることも珍しくありません。
同席した受験生が協力し、グループとしての評価を高めていく意識を持って臨みましょう。
テーマを意識する
教員採用試験の集団討論を進める中では「テーマ」を常に意識しながら考えていくことを心がけましょう。
議論が進む中で、話の内容がテーマから脱線してしまうことがあります。
そのまま進むとグループとしての評価が下がってしまいます。
つまり、そのグループ内にいるみなさんも評価を下げることになります。
常にテーマを意識して、もしテーマから話が外れていることに気付いた時は、それを露骨に指摘するのではなく、相手の発言を尊重しつつ、自分の意見考えを述べる際にテーマに戻すように工夫しましょう。
時間配分を意識する
集団討論では、時間配分を意識しましょう。
時間配分を意識するというのは
討論を意見の垂れ流しで終わらせるのではなく
ということです。
特に「グループとして意見をまとめるコト」が求められている場合は、それぞれが出した意見をまとめていく「整理の時間」が必要になります。
残り時間を意識して、場合によっては「まとめを促す発言」をすることも大切です。
仮に、意見がバラバラでひとつにまとまりそうでなうくても構いません。
例えば「グループとして意見をまとめるコト」が要求されているにもかかわらず、グループ内で意見が2つに分かれていた場合。その2つの意見の方向性と理由を確認する時間を持つことが大切です。
そして、その2つを「グループの意見のまとめ」として報告すれば良いでしょう。
少ない時間の中で、無理にひとつの意見にまとめようとすると、他の意見を否定することにつながりかねませんので、注意してください。
自分の「快心の一言」で決めてしまおうとしない
テーマに対して確固とした自分の意見がある場合、その意見に固執したり、そのことについて話し続けたりしてしまう場合があります。
周りの人の意見に耳を傾け、たとえ他人の意見よりも自分の意見の法が「正しい」と思ったとしても、他人の意見を認める余裕を持つことが大切です。
教員採用試験の集団討論の主な評価ポイントは「協調性」です。
正しく斬新な考えを持っていたり、相手を論破して「ぐうの音」も出せない状況を作ることよりも、相手を尊重し、建設的に話を進めていこうとする姿勢のほうが評価されます。
教員採用試験の集団討論の目的を意識して、自分をコントロールしましょう。
意見を言う時間は長くて1分程度
集団討論の中で、自分が意見を述べる時間が長くなり過ぎないように気をつけましょう。
1回あたりの発言時間は、個人面接と同様で「長くて1分程度」で考えましょう。
時々、延々と自分の経験や考えを述べる受験生がいます。
自分だけがやたらと長い間話をしているようだと「協調性」の面でマイナス評価を受けかねません。
気をつけましょう。
自分が話をしても良い回数を意識する
先ほどご説明した「1回当たりの話す時間」はもちろん、「発言回数」も大切です。
私の場合、10人参加で45分の時間なら「40÷10=4」でひとりあたりの発言時間は4分程度と計算しました。
そして、1回当たりを1分と考えるなら「3~4回は発言しよう」と目安を立てました。
周りの存在を意識していることをアピールする
教員採用試験の集団討論では「協調性」が問われますので、自分のアピールのみで終始すると高い評価を得ることが難しくなります。
具体的には以下のようなセリフを自身の発言の中に入れると良いでしょう。
「…だと考えます。みなさんはどう思われますか?」
「〇〇さんもおっしゃっていましたが…」
「〇〇さんのご意見は自分が気付かなかった点です。私の考えは…」
こういった「相手を立てる」という話術や態度は、チームとして学校運営を進める教師には絶対に必要なスキルです。
このような方向性にムズムズとした違和感を感じる方は、当たり前のこととしてできるよう、練習を積んでください。
他の受験生を否定しない
先にも述べましたが、集団討論はディベートではありません。
もし、他の受験生と違うことを言う場合には、下記のようなセリフを混ぜて相手を立てながら意見を言うことが大切です。
もし、体罰の話題で「体罰肯定派」の受験生がいた場合も、全否定はいけません。
しかし、体罰を肯定するわけにはいきません。
そんな場合は、以下のように行動を支える「気持ち」の部分に共感・肯定する発言をすると良いでしょう
集団によって立ち位置を変える
「協調性」を問われる教員採用試験の集団討論で、中心的存在として立ち回って高い評価を得るのは容易ではありません。
ことをおすすめします。
具体的には特別な役割を持たず「自分の考えを発信することを中心にすすめる立場」に回るのが良いでしょう。
しかし、全員が消極的なままで終わってしまっては集団としての評価が低くなります。例えば、誰も司会に名乗りをあげずに時間が過ぎるのであれば、司会を受けたほうが良いでしょう。
このように、最初の数分間で全体の雰囲気を確認しながら、自分の立ち位置を決めることは、ある程度の合格率を保証するためには必要なことだと言えます。
私は、グループが10名いたとして、グループの質によって以下の立ち位置で進めるよう心がけました
- グループ全体が「積極的」 → 10人中2~4番手
- グループ全体が「消極的」 → 10人中1~2番手
教員採用試験「集団討論」は「グループ全体で合格しよう」とする気持ちが大切
教員採用試験の「集団討論」で大切なポイントは「協調性」です。
教師の仕事自体が「チーム学校」として「チーム学年」として取り組んでいく仕事です。
そこに華麗な個人プレーは要求されていません。
集団討論でもグループをひとつのチームとして捉え、メンバー全員で良い討論を作り上げるために自分ができることを考え、行動していくことが合格への近道です。
集団面接同様、終わったあとにお互いに「ありがとうございました」「お疲れ様でした」と挨拶を交わし、場合によってはこの出会いをきっかけに良い人間関係を築けるくらいの気持ちで臨むと良いでしょう。
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